短編集119(過去作品)
相手は犬のような従順な相手を求めているが、一人の男性を好きになることも欲している。絵の中で犬をまったく見ようとしなかった女性の気持ちもそこにあるのではないだろうか。
隠れ家のようなバーで知り合った。そこに飾られていた絵が犬の絵だったというのも偶然には思えない。
初めて小百合と抱き合ったあの寒かった日、あれから少し寒い日が続いたが、今は暖かくなってきている。確実に歩いていて日は長くなってきている。目の前に写っている自分の陰を見ると、どこか犬の気配を感じるのは、小百合にまた会いたくなった証拠なのかも知れない……。
( 完 )
作品名:短編集119(過去作品) 作家名:森本晃次