悠々日和キャンピングカーの旅:③渥美半島の伊良湖岬
R42は知っている道なのだが、キャンピングカーでは初めて走る。道を歩いている人がキャンピングカーに気付くと、ずっと注目している。そんなことから、これまでとはちょっと違った心境になった。それをどう表現すれば良いのか、かなり考えた結果だが、「こちらを見て、見て、注目して」といった自意識強めのキャンピングカーのオーナーとしての“目立ちたがり屋”の心境だった。
この紀行文を執筆している今、その意識はかなり希薄になってきたが、無くなった訳ではない。それ以上に、見られているからこそ、マナーをしっかりと守った運転に心掛けるようになった。
正面に伊良湖ビューホテルが見えると、道はかなりの上り坂になった。ホテルの下を海側にぐるりと回ると眼下には、弓なりの砂浜が見えた。恋路ヶ浜(こいじがはま)た。その奥の、こんもりした小高い山(古山(こやま))全体が伊良湖岬だ。坂を下り、恋路ヶ浜の駐車場に入った。込み具合は50%くらいか。
伊勢湾に突き出た岬のため、強い南風が駐車場にも吹き込み、その風をまともに受けたキャンピングカーは横に揺れた。それは想像以上の揺れで、横風に強くないというキャンピングカーの特性を体で知った。
宿泊場所を考えながら、伊良湖岬の北側にある港に行った。そこには、フェリーの旅客ターミナルでもある道の駅「伊良湖クリスタルポルト」があり、ショップ内やその周辺をぶらぶら。この駐車場は古山で南風が遮られていて、強い風は感じられなかったが、明朝の日の出を見たかったため、先ほどの恋路ヶ浜の駐車場に戻り、そこを宿泊場所に決めた。
恋路ヶ浜は夕陽に包まれ始め、三島由紀夫の小説「潮騒」の舞台になったことで有名な神島(かみしま)がシルエットになり、紀伊半島に夕陽が沈んでいった。元旦の「初日の出」は見られなかったが、見事な「初日の入り」を見ることが出来た。
かなり長い時間、冷たい風に吹かれたことで、体が冷えてしまった。キャンピングカーに戻って、先ずはホットコーヒーを飲んだ。少し温まったところで、自宅から持ってきたもので夕食を取った。
テーブルの上の吊り棚に取り付いているテーブルライト(蛍光灯)だけでは十分な明るさではなかったため、読書用にと買ったLEDライトだったが、点けたところ、その明るさで、食事もワンランクアップした感じになった。
それにしても、強い風でキャンピングカーは揺れる。揺れる。その中で、TVを見ようとしたが、地デジを受信できなかったので、録画を見た。室内アンテナはダメだと結論付けた。旅が終わってから、良いアンテナを探すことにした。
10時頃に眠くなり、バンクベッドの布団に入る。強い風で、ダイネットよりさらに強い揺れだ。それは、ゆりかごで揺られた感じではないし、1/fゆらぎなのか・・・と思っている間に、眠りに落ちた。
作品名:悠々日和キャンピングカーの旅:③渥美半島の伊良湖岬 作家名:静岡のとみちゃん