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桐生甘太郎
桐生甘太郎
novelistID. 68250
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続・嘘つきな僕ら

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12話「微笑み」






最近、雄一の帰りが遅い。

その前に、僕たちは雄一の昇進祝いをした。

その日は、僕が料理を作って家で待っていて、雄一は遅くに帰ってきた。

雄一の会社は小さいけど、彼は、ビジネスの世界で腕を揮っていた、父親のツテでその会社に入ったと言っていた。

最初は周りからやっかみもあったし、相手にしてくれない人も居たくらいだと話していたけど、だんだんと頑張りが認められて、とうとう25歳の若さで、営業部第一課の係長になった。

雄一から聞いた話でしかないけど、雄一が居る本社の営業部はもちろん地方の支社より厳しく、そこで成り上がるということは、やがては幹部候補になる可能性も高いらしい。

でも彼は、「自分の仕事が結果になるのは嬉しいもんさ」、としか言っていなかった。

雄一は、深く考え込んだりはしないけど、解決に向けてのバイタリティなら、誰にも負けないと思う。そんな彼ならやっていけるだろうと、僕は安心して眺めていられた。

「ただいま」

「おかえり」

帰宅して、雄一が入浴と着替えを済ませてから、僕たちは食事をした。

「おっ!ハンバーグでっけえ!」

「これね、焼くのに時間かかったの」

僕が用意した食事は、大きな丸いハンバーグと、野菜のスープ。それだけだけど、一応お祝いのつもりなので、ハンバーグはどーんと大きくした。火を通すのがちょっと大変だったけど。

「いただきます!」

元気よく食事に掛かった雄一と、話をしながら、僕たちはハンバーグに取りかかる。

「ねえ、係長って何するの?」

「んー?うちの課は外側の営業だからな、マーケティングとかの方から押し付けられた件数、どうやって上げてくるかとか、そういうの」

「へ、へえ〜。やっぱり営業にもマーケティングがあるんだ」

僕は、営業の仕事がどんな仕組みなのかなんて知らなかったし、実は、そんなことまで初耳だった。

「そりゃお前、なけりゃどうやってコンスタントに客取るんだよ。奴らはそういうとこひねり出してきて、その戦略を使うのが俺たちさ」

「ふーん。すごいねえ」

「ん!ハンバーグうまいな!」

「へへ、よかった」

その晩は雄一が遅かったので、すぐに二人で眠ることにした。そして、翌日から雄一は、毎晩の帰りが0時を回るようになってしまったのだ。


作品名:続・嘘つきな僕ら 作家名:桐生甘太郎