昔はテレビが面白かったような気がする
いつも大きな夢をもっていたいのだが・・・
だいぶ以前の話になるが、日本人のノーベル賞受賞者の言葉で、特にヤブ田の心に残ったものがある。
2010年のノーベル化学賞を受賞したアメリカパデュー大学の根岸英一先生の言葉だ。
受賞会見で根岸先生は、こうおっしゃっていた。
「いつも大きな夢をもつことが大切だ。基礎的な能力さえもっていれば、あとは正しい方向で夢を追い続ければ、それが叶えられる可能性はかなり高いものだ。」
〈そうか、いつも大きな夢を持ち続けることが大切なのか・・・〉私はこれまでの自分を振り返ってみた。
子どものころは、あまり夢を持ったことがなかった。生まれつき、夢のない人間だったのかもしれない。
中学に入ったとき、ある授業で、一人ずつ将来の夢を書かせられたことがある。
今も親友で付き合っているKという男は、この時、小さい紙に〈社長〉と書いた。
後ろから覗き見した私は非常に驚いたことを覚えている。
とてもこの男が社長になれるはずはないと思ったからだ(成績はともかく、キレやすい男で、すぐに誰とでも取っ組み合いするような奴だった)。
私自身が何と書いたかは忘れてしまった。
ところが、その男は実際、かなり大きな会社の社長になった。
偶然ではないだろう。私もあのとき、「ノーベル賞受賞」ぐらい書いておけばよかった。
作品名:昔はテレビが面白かったような気がする 作家名:ヤブ田玄白