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火曜日の幻想譚 Ⅴ

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524.成功体験



 忙しい。

 忙しすぎて目が回る。食事も短時間、風呂もシャワーのみ、睡眠もいつもより少ない。心を亡くすと書いて忙しいと書くわけだが、当然、心なんかとっくの昔に亡くしている。機械的に考え、機械的に動き、機械的にお金がたまっていく (ただし、少額)。

 楽しいっちゃ楽しいのだが、つまらないといえばつまらない。これで大きな失敗でもやらかしたら、全てが吹っ飛んでしまうと考えると、正直やっていられない。でも、逆に大きな成功体験でもあったら、それこそ一生でも仕事をしていけるくらい仕事が好きになるかもしれない。

 仕事ができる人、できない人の違いって、案外こういうところにあるのかもしれないな、なんて思った。

 そういう意味では、やはり新人のうちに成功体験を積んでおくのは重要な気がする。少なくとも、褒められて伸びるようなタイプはこのほうがいい気がする。調子に乗るようなタイプは、ちょっと考えなければいけないけれど。

 まあ、でも、そんなの、運次第だよなあ。自分の新人時代に、初仕事で大きな失敗をやらかしたのを思い出して苦笑した。


作品名:火曜日の幻想譚 Ⅴ 作家名:六色塔