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火曜日の幻想譚 Ⅴ

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569.孤独を愛す者より



 一人になりたい。一人になりたくてたまらない。

 常に他人と一緒にいられる人ってなんなんだろう。家族で長期間旅行したり、シェアハウスで暮らせたり、会社に泊まり込んだりできる人。すごい、尊敬する。

 僕はとにかく一人の時間が作れないと駄目で、残業が続く生活を送るだけでも参ってしまう。深夜の1、2時間程度では、昼間1日分の世俗のあかは落としきれないのだ。大体2/3時間程度、昼休みも入れて9時間会社にいたとすれば、6時間ぐらいは一人にさせてくれないと困ってしまう。でも、それだけじゃない。通勤中も仕事ほどではないがストレスがたまるし、そこに、さらに睡眠時間がプラスされる。とてもその日の夜だけじゃまかないきれない。正直な話、僕はとても社会生活が営める状況とはいい難いのだ。
 では、足りない分はどうするか。当然、土、日で補うことになる。金曜日の夜、倒れるように眠りにつく。もともとがロングスリーパーな上に、さらに眠る。土曜日、起きるともう夕方だ。そこからさらに平日の分を取り返すべく、一人で部屋の中でいろいろとやっている。当然、土曜の夜は遅くなり、翌日の日曜日も夕方に起きることになる。掃除も自炊もろくにできやしない。せいぜい洗濯が精一杯。そんなこんなで無情にも週は明け、何もできぬまま、また月曜日が始まってしまう。

 だから、今、頑張っている人たちに、僕は声を大にして叫びたい。
 一人でいる時間を必要としないあなたはすごい、すごすぎる。それだけで、仕事に注力できるセンスがあるようなものだ。もちろん、無理はしない程度にプライベートを顧みつつ、これからも大きな仕事を成し遂げていってほしいと思う。
 そして、もし、「私も一人の時間が必要だな」と思ったあなた。あなたも素晴らしい。そんなハンデを抱えつつ、勤め先や学校にちゃんと行けてるってすげえ。週5日とか6日とか、ちゃんと身だしなみを整えて、人前に出られる格好で外に出ていける。そんなの、やべえ以外の言葉が出てこない。さらに休日に掃除や自炊をしたり、外出なんてしていようものなら、それはもうエネルギーの化けもんだ。誇りに思っていい。そんな体力などありゃしなかった、勤め人にすらなれやしなかった人間もいるんだっていうことを、どうか覚えておいてほしい。

 ただ、みんな、休みだけは十分にとったほうがいい。うつにでもなると、笑っちゃうほど体がいうことを聞かなくなるからねー。


作品名:火曜日の幻想譚 Ⅴ 作家名:六色塔