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断捨離の果て

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 事故や事件、自殺などが連鎖するのは、この病気によるものだということは、以前から自分で提唱していたが、最後に自分の身をもって証明できるというのは、皮肉なことなのだろうか?
 と言って結ばれていた。
「人って、結局は一人で生まれて一人で死んでいくんだけど、死ぬ時って、無意識のうちに一人で死にたくはないと思うのか、誰かを巻き込もうとするものなのかも知れないですね」
 と辰巳がいうと、
「そうだな。悲しいことのように思うけど、これが人間の限界なのかと思うと。悲しさよりも虚しさを感じるようになる。きっと、鳥飼も断捨離をしながら、自分が死ぬことを予感していて、実際に誰かの死に対する菌を貰ったことで、自殺に踏み切ったんだろうな。でも、私は鳥飼よりも、松本先生の方が死にたいという思いは強かったのではないかと思うんだよ。それはきっと、先生には断捨離ができない性格だったからではないかと思うんだ」
 と清水刑事は言った。
 これで事件は解決した。
 鳥飼は自殺を試み、死にきれないところを松本先生が幇助した。松本先生は鳥飼を殺したことに端を発しているが、遅かれ早かれ自殺する運命だったのだろう。
 二人が今共通で考えていることは、
「松本先生や鳥飼氏のようなケースは、今に始まったことではなく、これからも永遠に続いていくということであった。そして何が怖いのかというと、このことは一瞬にして忘れ去れて、時間は誰もが想像しているよりも早く、動いているということであった……。

                 (  完  )



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作品名:断捨離の果て 作家名:森本晃次