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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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EMIRI 7 言い訳を考えておきます

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「それが街の上を、クルクルしながら飛んでんのよ~。スゴイの観て来ちゃった~」
 月曜の昼休み、恵美莉が話しているのは、大学のクラスメイトのみのりである。
「ちょっと待ちなよ恵美莉。あんた、あのマスターと浮気してるの?」
「違うよ! そんなことしてないって。戦闘機ホントにスゴかったのよ!」
立ち止まって真面目な顔になる恵美莉。
「私は飛行機なんか・・・で、相手何歳だっけ?」
「25歳」
少しにやけるのを堪えている。
「25? もっと老けてない? 騙されてるんじゃないの?」
みのりは周囲の耳に気を付けて、かなり小声で話している。
「さあ? 5歳上だって本人が言ってんだもん」
「いつから付き合ってんのよ!」
みのりは小声に力を入れて訊ねた。
「付き合ってないって! つい最近からだけど。付き合ってんのとは違うよ。クラスコンパで行った時、渋いマスターだなって思ってたんだけど、そのあと、みのりと二人で遊びに行ったでしょ、ずーっと話しかけてくれてて、いい人だなって思ってたんだ」
恵美莉は、さも「後ろめたいことなどない!」と言いたげに、普通の声量で話している。みのりはそれを聞きながら、ゆっくりと相槌を打ち、今度は静かな声で、
「・・・で、関係を持ったのはいつ?」
「持ってないって!! でもいろいろ話してたら、やっぱり大人だなって思うことが多くて、魅力的なとこある人なんだ」
「あんた、やっぱり変わったわね。颯介君と別れてから、積極的に春樹君にアタックしたと思ったら・・・」
「うん。下向きにならないように、努力したわ」
「努力と言うより、狂ってきてないか?」
「狂ってないわ! でも土曜日は、コルベットに乗せてくれるなんて聞いてなかったし、もー素敵!って思っちゃった」
「ずるい~~! 二人だけで遊びに行く間柄になってるじゃない?」
「たまたまよ。たまたま。金曜に店に顔を出したら、マスターが土曜の航空ショーに一人で写真撮りに行くって話をしてくれたから、興味湧いちゃって、あたしも連れて行ってもらったの。それだけよ」
「その後、盛り上がっちゃったんじゃないの?」
「そりゃもう、戦闘機いっぱい見た後だからテンション爆上がりで、強引に誘われでもしたらどうしようって。ふふふふふふふ・・・でも何もなかったわよ」
「一応、動揺はしたのね。よかった」
「その後は、夏休みハワイ行く時のために、飛行機について色々アドバイスしてもらってたんだ」
「ホントにそれだけ?」
「そうなんだって、本当。春樹君にバレても、今の言い訳出来るよ」