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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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EMIRI 7 言い訳を考えておきます

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「いやいや。男だったらこれくらいは知ってるよ、普通」
「あたしの彼氏は、そんなの知ってるはずないけど」
 その時、次に離陸する戦闘機が、目の前の滑走路を横切って行った。ヒデキはまた咄嗟にカメラを構えたので、恵美莉は添えていた手を放して、前方を指さした。
「あ! あれ、なんかカラフルでカワイイ!」
「あれはF2だ! 国産戦闘機。でもこれはテスト用機だね。戦闘には行かないから、赤白青にカラーリングされてて人気のある機体だ」
「なんであんなオモチャみたいな色にする必要が!?」
「日本はガンダムの国だからね!」
「ホント! まるでアニメみたいじゃないですか! これ見たらきっと彼氏も喜ぶと思う」
「最新ステルス実証機のX2も、ガンダム風にカラーリングされてるよ」

 この週末の土曜日、“St.Elmo's Fire Bar(セント エルモス ファイヤー バー)”は、昼間の営業はしていない。恵美莉はその日マスターのヒデキと遠路、航空ショーを観に来ていたのだが、ヒデキはバーを5時にオープンさせる必要がある。だから観覧は午前中で切り上げて、早々に帰宅の途に就くのだった。

 その帰り道、ヒデキの運転する白いコルベット(スポーツカー)が高速道路をとばしていた。恵美莉は、それまで経験がなかった右側の助手席に深く腰掛けながら、今日の出来事に興奮してご機嫌で話している。
「でね、羽田からハワイまで8時間くらいでしょ。向こうに着いたら早朝なわけですよ。時差ボケが心配なんだけど、どう思いますか?」
「飛行機で寝ればいいじゃないか」
「う~ん。寝れるかなぁ? みのりが一緒だし。でもあたしは春樹君の横に座るけど。小峠先輩がみのりの面倒見てくれると思うんですけど」
「じゃ、何が問題さ?」
「あたし、飛行機初めてだから、きっと興奮して寝れないですよ」
「フフッ、子供か!?」
「だって! 今日だってすっごく興奮しちゃったもん! ヒデキさんもテンション上がってたでしょ?」
「そりゃ、そうだけど。寝れなくなるほどじゃないよ」
「あたしは寝れないな今日。まだジェット機の爆音が頭の中で鳴ってる感じ・・・」
「それはそれは」
恵美莉は余韻を楽しむように、うっすら瞼を閉じた。