悠々日和キャンピングカーの旅:プロローグ(後半)
■自宅のカーポートにきっちりと収まったキャンピングカー
納車日までに、車両点検やサブバッテリーの交換等が行われた。バックカメラが装着されていなかったため、ワイヤレスタイプのバックカメラとモニターを持参し、取り付けてもらった。その際に、キャンピングカーのベース車両のトヨタカムロード(トヨタダイナ)の運転席と助手席については、予め自作したチェックリストを使って点検し、問題のないことを確認した。
待望の納車日を迎えた。
大安吉日だったかどうかは憶えていないが、晴れていた。始まりは「晴れの日」が良い。
妻のSUVに乗せてもらい、キャンピングカーショップへ行くと、ポリッシャーで磨かれたのか、こぎれいになった外観のキャンピングカー「ジル」が妻と私を待っていた。
ショップの販売員から、キャンピングカーならではの装備についての詳しい説明をしてもらった。
たとえば、生活水については、先ずは清潔に保ったタンクには外部から注水し、満水の確認は注水口から水が溢れ出ることで完了、そしてメインスイッチをONにして、水を出すためのスイッチもONに、水道のコック(フォーセット)の栓をひねって、水抜きやエア抜きを行うと、フォーセットの蛇口から水が出始めるが、その開度によっては湯も出てくるので・・・と、ひとつの操作のための複数の操作が必要になる。その説明は理解出来たが、適切な操作手順を間違いなく追えるのかどうかは不安だった。
帰宅してから、他の装備類も含めて、朝起きてからの生活の順序に従って、操作マニュアルを見ながら、ひとつひとつ詳細に確認することにした。慣れてしまえば問題なく使えるのだろう。
販売員から受け取ったキーはじゃらじゃらと何種類もあり、どのキーがどのロックに合うのか、札が付いているが迷ってしまう。後日、使用頻度に応じて二つのグループに分け、使用頻度の低いグループは、キャンピングカーのエントランスあたりにキーフックを設けて、そこに下げておくことにした。
同数のスペアキーの保管場所に迷ったが、長旅に出ている最中に、スペアキーが必要になるような緊急時を考慮して、自宅ではなくキャンピングカーの中に保管した。しかし、キーを閉じ込めた場合や車外でキーを紛失した場合はキャンピングカーの中に入れないため、もう一度、保管場所を考えてみよう。少し悩ましいが。
ショップの人たちに見送られ、キャンピングカー、SUVの順で帰路に着いた。
いつもは、パラモーターの機材のトランポとして使っているスズキの軽バンを運転しているため、キャンピングカーの運転席は広く感じられ、フロントガラスまでの距離が長く、座ったままでは手が届かないほどだ。以前は、日産の大きめのワンボックスを運転していたが、キャンピングカーの運転席はそれより高く広い。乗車定員が10人、就寝人数が5人、車高3m、車重3トンのキャンピングカーは、普通免許の上限の仕様であり、デカい。
エンジンはディーゼルターボで低速トルクがあり、スムースな出だしで国道1号線に入った。スタートが1号線というのも何となく縁起が良い。殆どの静岡県民はそうなのだが、そう思うことにした。
走り始めると、やはり2mの車幅が気になる。走行車線の中央にキャンピングカーを走らせるのは難しく、左右のバックミラーをしきりに見ながらハンドルを切った。それでも、笑みを浮かべて運転している私自分に気付いた。対向車のドライバーがその私を見たならば、ラジオか何かを聞きながら笑っているのではと思ったにちがいない。キャンピングカーのオーナーになった喜びに浸りながら、記念日だからと、うなぎ屋に立ち寄り、妻と今日を祝って、うな重を食べた。
やがて、無事に自宅に到着し、カーポートの一番広い場所にキャンピングカーを停めた。
初チャレンジだったが、キャンピングカーの車庫証明を自ら取得し、バイクも記載した車庫証明申請書の配置図どおりに、新参者(新参車)が一番大きな顔をしているが、妻のSUV、私の軽バンの大中小の3台がきちんと収まった。
早速、自宅でコーヒーを淹れ、そのカップを持って、ダイネット(キャンピングカーのリビングスペース)に乗り込んだ。そして、マニュアルを見ながら、装備類のひとつひとつの再確認を進めた。先ほど憶えたガス台の作動の仕方、明日、ダイネットで淹れたコーヒーを飲んでみることにした。
作品名:悠々日和キャンピングカーの旅:プロローグ(後半) 作家名:静岡のとみちゃん