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オオサカタロウ
オオサカタロウ
novelistID. 20912
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Fray

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 山田は、自分を取り押さえている男の正体を悟ったように、口角を上げた。楠木は話せるだけの余裕を与えるために、かけていた体重を少しだけ解放した。山田は言った。
「あんたは、保険だったんだな。もしおれが来なくても、あんたが殺してくれる」
 楠木は一旦うなずいたが、実際のところ何も証明されていないということに気づいて、首を傾げた。
「おそらくそうだろうけど、本当のところは知らない。死のうとしてる奴の気持ちは、おれには分からない」
 山田が同意を示そうとしたとき、楠木は、冗談を思いついて頭の中で先にオチを披露してしまったように、目を大きく開いて笑い出した。
「そんなことが分かったら、そもそも人なんて殺せないしな」
      
作品名:Fray 作家名:オオサカタロウ