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未解決のわけ

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 それから数日して、自殺の名所と呼ばれているところで、若狭教授の死体が発見された。そこは、飛び込みの名所なのだが、若狭教授はなぜか車の中で、服毒自殺だった。
 殺人事件としても捜査されたが、殺人となるだけの証拠も何もなく、結局自殺として処理された。
 だは、少しして、その名所から、一人の遺体が上がった。かなり時間も経っていて、腐乱も激しかったが、何とかDNA鑑定で、被害者が特定された。
 その人は、スポーツ大会運営代行業の幹部の一人だった。どうやら、若狭教授とは仲が良くなかったようなのだが、聴き取りから、若狭教授をその幹部が恨んでいるのが分かったという。
 その後の警察の捜査が、
「犯行は若狭教授によるもので、それを苦にして若狭教授は自殺をした」
 という結論となった。
 証拠もそれにそぐうように後からどんどん見つかった。まるで、分かっていたかのようなストーリーだった。
 それを清水刑事も辰巳刑事も、それぞれにまるで他人事のように見ていたが、二人はそれぞれに事件の行方を気にしていた。ただ、あくまでも他人事にである。
 さらに、今回の彼らが捜査していた毒殺事件も、分かりそうで分からないという不可思議な状況を残したまま、迷宮入り事件となった。
 もちろん、二人には分かっていたストーリーであったが、これもやむなし、
「こんなことだったあるさ」
 としか、まわりには言えなかったのである。
「未解決事件なんて、しょせん、こんなものではないのかな?」
 と、誰が言ったか、そよぐ風に訊いてくれ……。

                  (  完  )



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作品名:未解決のわけ 作家名:森本晃次