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第五話 くらしの中で

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その3


翌日は手術の日であったが午後二時からなので午前中はゆっくりできた。
昼飯もおいしくいただき、二時前に車椅子で手術室まで運ばれた。緊張すること極まりなかったが、手術室に入ると若い医師二人がにこにこして自己紹介をした。手術台に上がって上を向くと担当医の他に数人の医師の顔が覗いていた。

あっという間に顔全体が覆われ右眼だけが出ていた。想像していたのは麻酔は眼のど真ん中へ注射針が突き刺さるのかと怯えていたのだが、そういう恐怖は払拭されて、液体が眼の中に注入されると同時に美しい青の世界が広がった。青の周りにはピンクやその他の色も混じり、顔の上で医師が何かをしゃべっている声とかちかちと切ったりえぐったりされるのがわかったが怖い感じはなかった。

自分の感覚では20分前後のような気がしたが、終わりましたよという声で手術台から降ろされ、手術室の前で暫く様子見の時間待機していた。
ほっとするような気分で病室に戻りベッドで一時間上を向いて安静させられた。

 
作品名:第五話 くらしの中で 作家名:笹峰霧子