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その５

最近旧友だった老女が夫を亡くし心身共にとても弱っている。
今の状況をどのように切り抜けて生きてゆくのか、気掛かりでもあるが、距離を持って付き合い少しでも役に立てればと思っている。


彼女と親密に付き合っていた何年間か、娘さん二人は親孝行で、就職してからは
親に必要な身に付ける物を送り続け、父親の命が後一ヵ月と言われたとき二人が仕事先の会社の介護休暇をとって４０日ほど帰って面倒を看たそうだ。

友人はあれほど強いことが言える力強さを持っていたのに、娘が葬儀や葬儀後の手続き一切をしてくれ、面倒をみてくれたので自分は泣くばかりしているという。
私に、旦那さんの葬儀後の手続きは自分でしたの？と聞いてきた。
勿論私には手伝ってくれる者はいないので独りでなにもかもした。夫が亡くなった５月にはそれまで思い描いていた計画を早速始めて、大勢の職人らが次々来たので悲しんでいる間はなかった。

その計画とは、１０年間放置していた母の家を改築して借家にすること。
それと同時に自分の住まいとしているコンパクトな別棟の家の窓は強靭なサッシに替え、小窓すべてにスティールの枠を付けた。
警備保障も二箇所から来てもらって見積りをさせ、セコムと先方の言い値より安く契約した。

その後セコムにお世話になる事件はなかったので１０年間の費用は使い捨てのようなものではあったが、急病のときに押すベル、火災報知のボタン、泥棒の気配を感じた時のボタンがそれぞれあって、独り暮らしでも全く不安はなかった。
それに遠出するときにはセコムの機器に鍵をかけて何かあれば守備をしてもらう装置もあるので安心して長期間家を留守にすることができた。