第五話 くらしの中で
その4
かなり若いときに読んだ本の中にあった言葉が忘れられない。
「孤独に強い者は老後強く生きられる」
亦、「受動的より能動的な生き方がよりよく生きられる」
言葉はきっちり覚えていないが、たしかそのような意味合いのことが書かれていて、私はその二つのことを心がけようとずっと思っていた。
自分が若くて、優しい家族に囲まれて、友人も多く、人との繋がりが多い年代ではそうゆうことを考えることもなく過ごす人が大半だ。
幸か不幸かわからないけど、私は兄弟姉妹がおらず、子育ての失敗の時期には
夫は鬼のようになって私を責め、うかうかしていたら酷い目に合いそうな時期が長く続いたので、自然と独りで頑張る習慣が身に付いた。
子供達も反抗期が長くて、成人してからも親のことを心配するどころかこちらが世話や援助をする状況がつづいた。そのような中を潜り抜けて老年の域に達したので、今更誰かにもたれて生活をする気持ちはさらさらない。
作品名:第五話 くらしの中で 作家名:笹峰霧子