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誹謗中傷の真意

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「でもね、あなただって人のことは言えませんよ。自分が先ほども言ったように苦し紛れでやったことが、あなたにとってすべての現況ですよね。どうして息子さんがあんなことをしたのか、そして、あなたが巻き込まれなければいけなかったのかということを、他人事として考えてしまうと、それは何の問題解決にはなりませんからね。そのあたりはよく考えないといけませんよ」
 と、清水刑事は父親にいった。
「教団も、事された新見さんも、あなたも、あなたのお子さんも、すべてどこかで歯車が狂っていたんですよ。そこに誤解や猜疑心が生じ、問題解決にもっとも安直な方法が選ばれてしまった。あなたと息子さん二人で一人の男を殺したわけですよね? あなたと息子さん、それぞれが半分悪いわけではありません。二人とも立派に一つ一つの犯罪を形成しています。裁判などでは減刑も多少はあるでしょうが、自分が一つの大きな罪を犯したということだけは忘れないでくださいね」
 と清水刑事は言った。
 それを聞いて。うな垂れたまま何も言えない父親も、病院のベッドでまだ起きることのできない息子も、言ったことから何を考えて生きて行けばいいというのだろう?
 辰巳刑事も清水刑事も、あの教団が掲げていた命名の意味を、今一度、思い出していたのだった……。

                  (  完  )



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作品名:誹謗中傷の真意 作家名:森本晃次