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短編集107(過去作品)

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――もし、このまま目が覚めなければ、一体どうなってしまうのだろう――
 ひょっとして、もう一人の自分が誰にも分からないように、この世に現れるのかも知れない。
 その時の本当の自分はものを考えられる状態なのだろうか?
 いや、きっと絶えず自分と入れ替わったもう一人の自分に足元を見つめられていることだろう。
 見つめる方も見つめられる方も、ビクビクしながら……。
 そんなビクビクは絶対にしたくない。夢から覚めた聡子は、図書館の窓から木枯らしに揺れる木の葉が、必死で枝にしがみ付いている様子を飽きることなく、ずっと眺めているのだった……。

                (  完  )
作品名:短編集107(過去作品) 作家名:森本晃次