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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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「オオカミ婆ちゃん」なのか

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 原因はわからないが、母は1年に何回かこういうことがある。最初は5年ぐらい前に母の友人たちと飛行機で羽田に向かった時だった。
「母が昏睡状態になった」ということで、空港の近くの病院に救急搬送されたことがある。CT検査をしたり詳しく調べたが特に異常なかった。その日は、出発準備で夜中もほとんど寝てなかったらしい。搬送先の病院でぐっすり眠って、その日のうちに元気で退院したのは言うまでもない。

二度目は、入院中の事だった。私が外来診察中に受持ち医から電話があった。
「お母様が急変しました、すぐにいらしてください」
母はストレッチャーに乗せられて、レントゲン室でCTをとるところだった。何人ものドクター、ナースが付き添ってものものしい感じだった。私はその様子を見て、覚悟した。兄と姉にスマホで連絡した。
 その時も何の処置もせず、自然に正常の呼吸に回復して何事もなかった。
 今回が3回目だったが、やはり同じような経過でしばらくすると自然に呼吸は普通になった。

 原因は不明である。

 それから1週間後、〇〇園の医師と係りの人を交えて、母の急変時の対応について話し合いがもたれた。
午後からだったが、到着するや否や、施設長の〇〇さんから言われた。

「先ほど、お母様の呼吸がまた前回と同じようにすごく浅く早く乱れまして、しばらくそのあと止まりました。」
私は驚いて、急いでエレベーターに乗り、部屋に駆け付けた。付き添いの看護師が慌てたような顔で言った。
「今はだいぶ落ち着いたんですけど、さっき、呼吸が乱れてしばらく止まりました。声をかけても全然返事がありませんでした。」
〈これはえらいことだ。いよいよか?〉私は今度こそ覚悟を決めた。