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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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「オオカミ婆ちゃん」なのか

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日曜日のプリンよ、さようなら



 日曜日だ。いつもならコンビニ、プリンの日だった。
母が退院して、近くの施設に入所したので、日曜日のプリンはなくなった。
毎週日曜、母の見舞いに行っていたのに、その必要が無くなって、肩の荷が下りたが、どこか寂しい。

 5階の看護師長に退院をほのめかされて、兄や姉と次のステップについて相談した。
兄ははっきりした理由は言わなかったが、母との同居は辞退したいと言った。姉は体調不良のため、母の介護は難しいと言った。
私は仕事がある。仕事と介護の両立は出来ない。

 そこで、知り合いのソーシャルワーカーさんに、どこかいい施設はないか探してもらうことにした。
彼はこの辺では施設の知り合いが多く、顔が効くらしい。

 3週間ぐらいたって、連絡があった。
「センセイ、この前の話ですけど、一ついいところがありました。」
「ホウ、そうですか、それはよかった。場所はどこですか?」
「それが近いんですよ。今まであまり気が付かなかったんですけど、灯台下暗しっていうんでしょうかね」
「それでどんなところなの?」
「そうですね、まず食事がとてもいいんですよ。」
「ホウ、それはいい」
「スタッフが揃っていましてね、皆感じのいい人ばかりなんです」
「ヘエ、それは何よりだねえ。」
「そして、周りが静かでとても見晴らしのいいところなんですよ。私の親でもぜひ住まわせたいぐらいですね」

 この最後の「私の親でも住まわせてみたい」というセリフが決め手だった。