「オオカミ婆ちゃん」なのか
「じゃ、〇〇さん、来週あたり兄たちを連れてどんなところか見に行きたいと思いますけどいいですか?」
話はトントン拍子に進んで、空室待ちになった。それから1週間後連絡があった。
「センセイ、この前のお母さんの入室の件、ちょうどお部屋が一つ空きましたので確保しておきました」
「ほんと、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。」ヤブ田は心から感謝した。ソーシャルワーカーの〇〇さんには頭が上がらない。
退院当日、施設から男の職員が二人で母を迎えに来た。
暖かい日でよかった。母は車椅子に乗ったまま、後ろから車に積み込まれた。
車で30分ぐらいで施設についた。
「退院してよかったね」と言うと、
「ああ、こっちがいいねえ」と答えた。嬉しそうな顔だったので安心した。
入所者は50人ぐらい。施設としては中ぐらいの規模である。
それでも、最年長者は母より一歳年上で104歳とのことだった。
作品名:「オオカミ婆ちゃん」なのか 作家名:ヤブ田玄白