「オオカミ婆ちゃん」なのか
性格がちょっと・・・ その1
人間、顔かたちが違うように、性格も千差万別だ。
いい人も、そうでない人もいる。
外来診療していると、身体は丈夫だが、性格がふつうと違うと思われる方が時折いらっしゃる。
今日はその日だった。
午前中、5番目の人。
70代半ばの男性と、その妻。二人とも高血圧で薬を飲んでいる。
失礼ながら、男性は腕白坊主がそのまま爺さんになったような人だ。(あだ名はジャイアン、としよう)
ピンポーンと表示板の受付番号が変わって、診察室に入ってくる。
「おはようございます。」(ヤブ田)
ジャイアンは、不機嫌そうな顔で、
「・・・・」と近づいてくる。
「〇〇さん、おはようございます。お変わりありませんか?」
私をにらむようにして(もともとそういう顔なのかもしれないが)、
「べつに・・・」
「ああ、そうですか、それは結構ですね。それでは診察させていただきます。」
ジャイアンは、腕を出した。
私がいつも最初に脈を診るのを知っている。その点は評価できる。
脈を診た後、心臓の音を聴き、呼吸の音を聴いて一通り診察を終えた。特に異常はなかった。
作品名:「オオカミ婆ちゃん」なのか 作家名:ヤブ田玄白