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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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「オオカミ婆ちゃん」なのか

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 ナースステーションに行くと、「センセイ」と声をかけられた。
5階病棟の看護師長らしい。 

 大柄な姿勢のいい60代の女性である。以前から顔は知っているが、名前は知らない。

「おはようございます。母がいつもお世話になっております。」
「いいえ、どういたしまして。先生は日曜日、いつもお母様のお見舞いですか?」「ええ、そうなんです。プリンを楽しみにしてるもんですから」

看護師長は微笑んだ。そして言った。
「お母様もお元気ですけどね」
その言い方がちょっと引っかかった。

「ええ、何でしょう。」と言うと、
「今のところ病状は落ち着いてますけど、もうだいぶ長くなりましたねえ」
そういえば、入院してもう7か月たった。とっくに規定の期限はすんでいる。

看護師長は重ねていった。
「センセイは次のステップのこと、どういうふうにお考えになってますか?」〈ああ、ついに来たな〉
「ええ、ご迷惑でなければ、できるだけ長い間入院させていただきたいんですが」

看護師長の声の調子が少し変わった。
「でもセンセイ、治療はすんだようですし、同じことの繰り返しですからね。ここは一般病院なので、国の縛りもあるんですよ。」
「・・・・・・」