「オオカミ婆ちゃん」なのか
103歳からの出発
日曜日。
コンビニ、プリン、母の見舞いの日である。
しかし、今日はいつものコンビニプリンではない。
たまには姉の顔も立てようと、ジャージー牛乳プリンを持って行った。
牛乳の味が濃厚で私にはちょっと食べにくいが、コッテリが好きな母にはいいかと思った。
ただ、食べたことがないので、どんな反応が出るか予想出来ない。
「モウ」と鳴くかもしれないし、角が生えるかもしれない。
それなりの覚悟を決めて出かけた。
母は珍しく、車椅子でナースステーションにいた。
いつもは病室のベッドに寝ているのが、ナースステーションにいると、出世したようで喜ばしい。
テーブルを隔てて、90代(と思われる)の女性患者にしきりに話しかけている。
私がそばに行くと、
「私の息子」と、告げた。
いつもは、私を息子と認識していないようだが、第三者がいると意識が変わるのか?不思議な現象である。
作品名:「オオカミ婆ちゃん」なのか 作家名:ヤブ田玄白