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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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「オオカミ婆ちゃん」なのか

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 試合開始。
兄のオヤから始まった。
「リーチ」という兄の声が「ローチ」のように聞こえた。やはり変だ。

「兄さん、声が変だね。どうかしたの?」と言いながら牌を捨てると、ニヤリ笑って、
「ハイ、その牌、あたり」と自分の牌を倒した。〈またやられた。メンタンピン一発ドラドラでオヤのハネマンだ〉

 いきなりの失点で目が覚めた。
その後は慎重に戦いを進めた。

 ハンチャン終わって、兄がダントツのトップ、長男が2着(インターネット麻雀の修行が実を結んだようだ)、私は3位で次男は、家に残してきた赤ちゃんが気になるのか、冴えなかった。

 ビールを少し飲み、赤ちゃんの名前談議で時間が過ぎた。

 後半戦の途中だった。
兄の顔が少し青ざめたようだった。
「兄さん、どうした?役満でもテンパったのか?顔色がおかしいぞ」と言うと、兄は真面目な顔で言った。
「ちょっと待って、熱はかってみるから」体温計を脇の下から外して見ていたが、
「38度5分だ!どうも体がゾクゾクすると思ったんだ」

〈これは大変なことになった〉と直感的に思った。
 コロナである。オミクロンである。
「オイ、みんな、これはオミクロン臭いぞ。」