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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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「オオカミ婆ちゃん」なのか

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オミクロンこわい




 先週土曜日、兄から連絡があった。
「急だけど集まって麻雀しないか?俺はあまり気が進まないんだけど、息子たちがやろうやろうって言うもんでね」
電話の声がいつもと違っていた。かすれていた。

「ちょっと声がかれてないか?行ってもいいけど、テツマンは勘弁だな」と答えると、兄は
「俺だって付き合いきれないよ。そんなに時間かからないと思うからいいだろ」
と言う。

 兄にそう言われれば、行かないわけにはいかない。
実は私も正月の勝利で気をよくしていたのである。〈そうだ、返り討ちにしてやろう〉と夕方乗り込んだ。

「叔父さん、今日はこっちのもんだぜ。正月じゃないから、もう手加減はしないよ」長男は生意気な口をたたく。〈その後、インターネット麻雀でだいぶ自信つけたのか。でも実戦は別だよ〉

「兄貴は最近、インターネットでずいぶん上達したつもりだけど、どうかねえ。またやられるんじゃないの」次男も負けず口は達者だ。
彼は最近、二児の父になったばかりだ。
奥さんは退院して母子ともに健康と聞いている。〈奥さんを一人おいていいものだろうか?家庭を顧みないところは兄貴によく似てる〉

「まあいい、二人ともちゃんと罰金は払うんだぞ。その覚悟があるなら、付き合ってやってもいいけど」私は落ち着いて自分の意見を言った。

 嫂が自慢の手料理でもてなしてくれる。
いつも思うのだが、兄貴はほんとうにいい嫁さんをもらったものだ。
あの煮え切らないデブが、よくあんな気の利く嫁さんを手に入れたものだと感心する。

「姉さん、いつもご馳走になってありがとうございます。今日も息子さんからふんだくりますから、よろしくお願いしますね」と言うと、
「あなたはいつもそうなんだから」と笑っていた。