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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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「オオカミ婆ちゃん」なのか

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これで日本も大丈夫か?




 また日曜日が来た。プリンの日である。
途中コンビニで買って、母の見舞いに行った。
いつもと変りなく元気で、早くプリンを食べさせてほしいという様子だった。
私のことは、受け持ちの医者か、プリンの配達係と思っている。

 今日は割に暖かかったせいか、口の開き具合も良好で、スムーズに1個食べた。
「おいしい」と言ってくれれば嬉しいのだが、母はそこまで気が回らないようだ。プリンを食べることに集中している。

 先週、「お手伝いしますよ」、と言った美人のナースはいなかった。
何かのっぴきならない用事が出来たに違いない。
子供が熱を出したか、ご主人が倒れたか、本人が体調不良を起こしたか、そのどれでもないことを祈っている。
〈ま、来週もあることだし、別にどうってことはない〉
ヤブ田は平静を装って、母にスプーンでプリンを流し込み続けた。


 兄の次男のところに赤ちゃんが生まれたのだ。
兄は細い眼をいっそう細くして、孫の誕生を喜んでいたが、私にとってもめでたい事だった。

 母に筆談でその旨知らせた。黒のマジックインクで、A4のコピー用紙を半分に折って書くのである。

「〇〇のところに二番目の男の子の赤ちゃんが生まれました。お母さんの4番目の曾孫ですね」と書いて手渡した。
母は字が読めるのだ。何度も読んでいたが、読むたびに笑って喜んだ。