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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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「オオカミ婆ちゃん」なのか

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「ありがたい、ありがたい。とってもめでたい事です。4番目の曾孫が生まれました・・・か。・・・・ウーン、これで日本も大丈夫だね。」〈岸田首相が聞いたら喜びそうだな〉

 母は大正生まれで、昭和の戦前の良き時代を学生のころ過ごした。戦争中は結婚していたが、いろいろ苦労も多かったのだろう。
男子が国を背負うという事を、自然に信じた時代の女性である。
長男の、子供の第二子が男と聞いて、よけい頼もしく嬉しく思ったに違いない。



 母は「これで日本も大丈夫」と言ったが、ほんとうにそうだろうか?
私が生まれて今日まで、幸いにもかなりの長期間、日本は外国と戦争しなかった。戦争で亡くなった人もいなかった。ほんとうにラッキーな年代である。
しかし、これから先の数十年、今までと同じように平和な時代が続くとは限らない。生まれた赤ちゃんが戦争に駆り出される時が来ないとも限らない。

 母が「これで日本も大丈夫」と言った真の意味は何だろう?
昔の人の感覚だから、おそらくだが、もし外国が攻めてきても、彼らが防いでくれるだろう。婦女子に危害を加えられないように、神国日本を護ってくれるだろう。
という意味ではなかろうか?

「これで日本も大丈夫」も考えてみれば、決してそのまま聞き流せる言葉ではない、とヤブ田は思ったのであった。