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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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「オオカミ婆ちゃん」なのか

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 私の死後の相続である。
「実は、私は一番下なので、順番どおりだと、相続人は誰もいないんですよ。」
「なるほど。そうなりますね」
「そこでまあ、聞き流していただいて結構なんですけど。相続人がいない場合、例えばですよ、ペットに相続させたいなんて言う人はいないでしょうか?」

 彼女は苦笑いして言った。
「そんな事、初めて聞きましたけど。」
もしかして、彼女を怒らせてしまったのではないか、と私は心配した。

「いや、おかしなことを言ってすみません。実は、私の親戚で法定相続人は誰もいなくて、犬の世話をしてくれた人に遺産を分けたという話がありましてね。」
「なるほど。そうなんですね。犬じゃなくて、人間なんですね。そういうケースなら、遺言があれば可能かもしれませんが」彼女は仕方なさそうに答えた。

「そうですか。でも私の場合、猫の世話は自分でやってますからね。それに、私より先に猫が死ぬかもしれません。どうしたらいいでしょう」(言いながら、これ以上彼女を困らせるのはよくない、と思った)

 彼女はぼんやり上を見上げ、猫の相続以外の話題を探しているように見えた。

 そこに偶然か、それとも自分に関係ある事案を審議中と察したのか、猫が「ニャーオ」と現れた。