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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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「オオカミ婆ちゃん」なのか

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「センセイ、おはようございます!毎週たいへんですね」
彼女は美人で愛想もいいので人気がある。

「そうなんですよ。今日はプリン食べさせたんだけど、なかなか進まなくてね。ようやく終わったところですよ。」
「そうなんですか。今度、私お手伝いしましょうか。」
意外な申し出に一瞬たじろいだが、平静を装って、
「ア、それはありがたいですね。お願いしようかな」
少しひきつった顔で私は答えた。

「ええ、いいですよ。じゃ、来週の日曜ですね」彼女は反応が早い。
「そ、そうですか。来週ですね。承知しました」
私は、突然デートの申し込みをされたように、驚いて的外れな答えをした。

 検温と点滴の確認を終えて、彼女はナースステーションに戻った。
〈来週の日曜か。プリンがいいかな?それともアイスクリームがいいかな?〉
私は迷ったが、少しウキウキした気分だった。

「おかーさん、来週また来るからね」耳元で大きな声で言った。
母はうるさいのか、顔をしかめて言った。
「センセイは、皆の役に立つお仕事で、ありがたいことです。感謝しています。」
やはり私のことは、自分の息子ではなく、受け持ちの医者だと思っているらしい。

〈母の記憶のことは深く考えないようにしよう〉気持ちを切り替えて病室を出た。
外はしんしんと冷えていたが、心の中はほんのり温かかった。
足取りも今朝来た時より軽く感じた。