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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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「オオカミ婆ちゃん」なのか

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 いつもより口の開きが少ない。
外は寒かったが、病室は適温である。寒さのせいではないだろう。

「おかーさん、もう少し大きく、口開けて!」母の耳元で言った。

 母の耳はほとんど聴こえない(都合の悪いことは聞こえないのか、と思っていたが、最近はほんとうに聴こえないようだ)。
以前は補聴器をしていたが、しょっちゅう失くするので、今は家に置いてある。

 スプーンが口に触れると、口が開く。その瞬間にプリンを流し込む。タイミングがなかなか難しかった。
30分ぐらいかかって、ようやく1個食べ終えた。誤嚥性肺炎を起こさないでよかった。

 見回りに来た看護師さんが笑っていた。