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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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「オオカミ婆ちゃん」なのか

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「アイスクリームは凍ってるでしょ。食べさせるのに時間がかかるんじゃないかと思って」
彼女の答は説得力があった。私の提案を否定しているのではなく、私を気遣った言葉だったのである。
 いろいろ考えた結果、次回の見舞いにアイスクリームを持ってゆく計画は断念した。
アイスクリームを時間かけずに食べさせる自信がなかったからである。

 体温は正常より低めだった。指先で測定するO2飽和度も99%で異常なかった。

 安心したように、看護師さんは母に声をかけた。
「〇〇さーん、〇〇さーん、息子さんですよ。」(私がこの病院でパート勤務していて、仕事の合間に母を見舞うのを知っているのだ)

 母は私をじっと見て言った。
「・・・・違う」
看護師さんはもう一度言った。
「この先生は〇〇さんの息子さんですよ。よく見てください」
私も白衣のネームプレートを指さして、
「僕ですよ。お母さんの息子ですよ」と言ってみた。

 母は、また私の顔と白衣のネームプレートをじっと見比べながら言った。
「・・・違う」