*三行詩抄: 問答歌 ・落穂選 *蝶の唄
In 19. century , His face,covered with a white mustache,
Seemed to have been wounded by a sword wounds .
ブラウンシュヴァイク生まれの 文豪ラーベ:
白い髭で被われた 顔(かんばせ)は
刀傷で 切り刻まれたよう
26. Incidentally it occurs to me, Raabe wrote a lot of works;
So many chief characters could not adapt themselves
In their times after taking years.
年老いて 時代に
順応できぬ 主人公の姿が
思い浮かび
27. But take a look at his face ;
Oh !, His Eyes shine more and more brightly ,
And can not see decline in it.
彼のかんばせ その眼差し
艶やかに 衰えを知らず !
*- *-
14. Before the voluminous complete works of GOETHE,
You stand still ,hanging the red cardigan,
On your shoulder.
浩瀚たる ゲーテ全集の前で
赤いカーディガンを 肩にかけ
15. Watching the yellow Forsythia, bloomed in my garden,
I remember the FORSYTHIA that bloomed on the embankment
Of Yotsuya , missing them so much.
庭先の レンギョウに
四谷の土手に 咲きしを想ひ 懐かしむ
16. After all , the cherry trees are the best, In scattering
Their Blossomes ;The petals ,dancing in soft wind, more beautifully,
In addition, Children , running and playing there, innocently .
桜は やはり 散り際か
そよ吹く風に 舞ひし花びら
飛び交ふ 無辜の子ら
*- ) )
・「奇妙な決闘」に関する逸話: Kleist; Anekdote:
文芸評論家にして小説も書き、世情に鋭い分析と批評を述べ、かつ、多言語にも長けた加藤周一氏は、ある書物でクライストを評して、文学史上では優れて確たる位置を占めており、読んで素晴らしいと評価は高いが、血沸き肉躍る点に関しては欠ける劇作家であると書いた。そして、それほど知られていない「ヴォイツェク」や「ダントンの死」を書き残したブューヒナーこそ、その点では遙かに面白いとしたのである。
が、それはともかくも、クライストはその原文、原典に当たって熟読してみると、分かるのだが、彼の独特といってよい簡潔な文体には、最初は手こずるかもしれないが、読み進めていると、その素晴らしさと妙味に心が奪われていくから、やはり優れた言語芸術に長けた作家であることが理解できるといってよい。
それはさておき、クライストにはアネクドーテ・逸話集として奇譚集がある。その中の一つにこんなのがある。これは「最後のプロイセン戦争」からの逸話や、「大酒豪とベルリンの鐘」に関する逸話や、「イギリスにおける奇妙な裁判」などとともに収められているのだが、その中にこんな一節がある。
ヤコプ、ヤコプ、わたしを侮辱しましたわね。この恥辱は夫が戻り次第、貴方にも必ず、降りかかるでしょう、と夫人は涙ながらに云った。>>
だが、ヤコプはこの嚇かしには気にも留めず、すぐに馬に跨ると、一目散に戻っていった。
翌朝、四時にヤコプはすでに城に戻っていた。そして午前9時にはR.伯爵のもとに姿を現していたのだ。 >>>
これはクライストの簡潔な文体で書かれた「奇妙な決闘」からの一節であるが、夫人の夫の騎士カルージュが館を空けて遠く出かけている際に、同僚の騎士ヤコプがアバンチュールに押し寄せてきて抱きしめていた。 それを知ったカルージュは正義のためにヤコプに決闘を申し込み、王から許されると、見事に成し遂げたという奇譚だが、ベルが鳴り原書講読の授業が終わると宮間が道之助に声をかけてきた。
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おい、複雑だな、簡潔な文章というから分かりやすいと思っていたが、まるっきり違うじゃないか。コンマはやたらに多いし。そうさな、言う通りだ。最初は手こずったよ、と云うと、俺にはこんな文章は無理かもしれん、と体の大きい柔道部で活躍している宮間はいつになく弱気をみせた。そんなこと言いなさんなと言おうと思ったが喉元でとめると、道之助は云う。ひとつコツがある。カッコで幾つも括ってしまうと、実に分かりやすくなってくる。元の文はみじかいものだし、あとは着ぶくれみたいになっているだけなんだ、と云うと、それもやっかいなことじゃないかと宮間は渋面をつくっている。まあ、慣れかもしれん、読んでいるうちに慣れてくれば面白くなってくると道之助は笑って云った。
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ところで、女の子たちがProf.宇崎さんのことを、おじいちゃまと云っているのを知っているかい、と宮間は話を逸らす。なんでも、おじいちゃまにはゆっくり訳していてはいけないのよ、スピードよ、スピーディさで勝負すれば、たとえ多少は間違って訳していても誤魔化しがきくのよ、なんてね。そうは云っても語学力がなくては出来んことだし、それに女の子のほうが早口にも長けているしな、と宮間は何処で耳にしたのか面白いことを言った。なるほど、そうかもしれんと道之助も変に納得している。
桑子道之助氏の優雅な青春交遊・抄 より
・原典のタイトルは、H. von Kleist: Geschichte eines merkwürdigen Zwei-Kampfs, Sämtliche Werke. Hanser Verlag. S. 288ff.
Ps./: その後、カルージュは観衆に振り向くや大声で訊ねた。われは重責を果たすことが出来たであろうか。すると観衆は一様に、ヤー(Ja. 然り)と応えたのである。
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Ps./ 2.;
作品名:*三行詩抄: 問答歌 ・落穂選 *蝶の唄 作家名:HERRSOMMER夏目