恩寵と秘蹟物語:文芸学夜話:ホフマンと幻想怪奇小説
Ach so, aber doch , das schadet nicht, sagte Michinosuke sofort und
wiederholte weiter. -- そうか、 まあ、気にすることもなかろう
Schadet wirklich nicht ,wirklich nicht Herr Tokumal, sagte Michi-
nosuke ,während er sich seine Brille abnahm.
Herr Tokumal schwieg dazwischen eine kleine Weile.Er schien vielleicht
etwas darüber ein bisschen zu denken.
Dann sagte Michinosuke ,schadet wirklich nicht, und fing darüber mit
heller und fröhlicher Stimme an zu erklären.
-- やがて 道之助は少し寡黙になった徳丸くんが思い巡らしているのを見る
と、明るい声でこう言ったのだ。
Das sind ,ja, das kenne ich ,Herr Tokumal, :das sind nämlich eben
drei Staaten in Sowjet Republik. -- つまり、それは所謂、嘗てのソヴィ
エト連邦だったバルト海の三国を云うのだがね、・・ -- Fortsetzung..
【*つれづれドイツ語選】--4.
* - )) - *
Vgl.: 桑子道之助氏の優雅な青春交遊・抄 より:---
*《項目・一覧》+ *-
・Prof. イモヌスと中世騎士の四徳: 騎士文化 より
・英雄叙事詩とBlumen :- ・Prof. 横川と数奇な言葉 :--
・K.国屋書店へ行く :- ・Ellery Queenと K.山園 :--
・Hiromi: Lovely Mädchen :タンダラダイと乙女の唄: そして謡曲:-
*- * - ))
・奇妙な決闘に関する逸話:クライスト奇譚集 より
+ クリスマスの第一の祝日歌:
ランゲッサー異世界 より
+ パリンプセスト:仔羊皮と日夏耿之介 より
* - * - )) -)
・老人と語彙: ビクセル作 より
・sehr lecker :美味しいわ!「別れの曲」 より
・シャミッソー「女の愛と生涯」 より
・美鳥啼く音の恋しき節よ: ヘルティ より
・エラリ・クイーン; Ellery Queen ⑵
* - )))-
* 「夜のラビリンス」断章: 鮫島先生と安曇くんと私 より
* 三行詩集:問答歌; -Drei-Linien Verse ➀~⑩
* 蝶の唄 : *つれづれドイツ語選 より
* - ((( * -
* 聖S.病院にて; Im St. S. Krankenhaus
* The College Student Days : Fragment
* 恩寵と秘蹟の物語:- E.ランゲッサーの「消えない印」より
* シュトルム文人交遊録 ;T. Storm
* リュッケルト:晝間に きみは 陰なれど・・
* エラリ・クイーン ⑴ * つれづれドイツ語選 より
* )) -) -*
Es ist eigentlich eine gemuhtliche Zeit:---
東N-野に棲む道之助は、信号機のある廣い車道を渡って、休みの日にはK-
落合に棲むMW.照さんのマンションを時おり訪ねることがある。 てるさんは新宿
にあるB-服装学院で、長年に渡って教えているベテランの先生である。
その日も、近くの蕎麦屋で昼食を済ませると、思い立ったように照さんの
マンションに散歩がてら足を向けた。マンションのすぐ近くには、空高く伸びた
斎場の太い煙突が聳えるように立っていて、時おりは、薄い煙が棚引くように出
ていることがある。 空は高く、日和は穏やかで暖かい。
「あら、いらっしゃい。お元気?..」とドアから姿を見せるや、開口一番
あかるい声がした。 「散歩がてら、ついまた、足が向いてきてしまいました」
道之助は照れたように云った。
「いいわよ、遠慮しないで、いつでも気軽にいらっしゃいな。休みですもの」
先生はいつ顔を出しても、明るく迎えてくれる。
「 今日は いないのよ、あの子、ちょっと、行くところがあるからって、
おめかしして朝早くから、でかけていったのよ」
そのせいか、部屋の中は何となく、いつもより静かである。
「お見合いでもないらしいけれど、熊谷に叔父さんがいるらしくて、そちらに
お呼ばれとか云って、そそくさと出かけていったわ」
「明るくって、いいですものね、彼女」
一度しか逢っていないのに、その時の印象を道之助は口にした。彼女は聞けば
一つ二つ年上らしい。心から弾むように明るかったのが脳裏を掠めていく。
「気が利かないところも あるにはあるのよ、毎日一緒に過ごしていると」と
先生は学院で助手をしている彼女には、平気でこんなことを云う。
「でも、なかなか、いい子ね、明るくって、」
「そうですよね、第一印象って大事ですからね。 初めて先生のマンションに、
新幹線で一緒にのり合わせて、食事でもしていきなさいな、と云われて寄せても
らったとき、帰り際には駅の近くまで送ってもらい、感じましたから」
その時、夜九時ごろだったが、道路の交差点まで来ると、こちらに行くと東
N-野駅があるのよ。でなければ、ここのバス停から新宿駅にも行けるわね、と
彼女が教えてくれると、道之助は少し遠回りかなとも思ったのだが、新宿を起点
にいつもの地下鉄でK-円寺の下宿に帰るほうが近いと思うと、バスに乗り込んでいた。
* - ((( -
道之助が二カ月ほどして、二度目に美沙希にあった時は、あいにく照先生が
不在であった。ちょっと、躊躇ったが、彼女が折角いらしたのですから、寄って
らっしゃい、というものだから、中に入りお茶をご馳走になっていると、いきな
り、ドイツ語とやらを聞かせてとせがまれた。
「いいでしょう!..わたし、好奇心だけは旺盛なの。おっちょこちょいな
くせに、何にでも興味をしめすの、ですから、」
「いいですよ、では、こんなのは分かりやすいかもしれない、例えば、語彙でい
作品名:恩寵と秘蹟物語:文芸学夜話:ホフマンと幻想怪奇小説 作家名:H.SOMMER-夏目



