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端数報告6

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なんて言ってたんだよね。対して番組のホスト役が、
「さささ最大ではちじゅーまんですってええええ!」
なんて返してた。日の確認数がいくつかに関わりなく〈専門家〉は同じことを言い、マスコミは同じ反応を返してたのだ。
 
「今日は○人? しかしそれは何人を検査しての数字なのだ。分数の分子だけを言われても困る。分母はいくつだ。教えてくれたら、何割が感染していて都全体で何人になるか計算してやるよ。別にボクがやんなくても、小学生でもできるけどね」
 
と、本当のプロであればそう言うはずだがその発想がないものだから。〈専門家〉ではあってもプロでなく、プロはひとりもいないから、
 
「〈波〉よ来い。コロナよ、〈波〉を起こせ。十万、百万、一千万を早く殺せ。そして世界で何十億と殺すのだ。そのときオレはジョン・コナーだ。それでいいのだからそれでいいのだ」
 
という考えをするため嘘に気づかない。で、今回の話だけれど、床屋だ。床屋はコロナ禍で最も危険な職業と言われた。2年後にはほとんど生きていないだろうみたいなことを、2年前に言われていた。
 
が、現実のところはどうか。だいたい、〈禍〉が本当なら、床屋は営業すべきでない。男も女も屋外に椅子だけ置いたスペースで、宇宙服みたいなものを着たやつが持つバリカンで丸坊主にされるべきだ。ちなみに、おれはその前から坊主頭にしていたので一向に構わないのだけれど、そうでなくても理髪師だの美容師だのは仕事の後で毎日検査を受けるべきだったろう。〈陽性〉と出たら店を閉めねばならぬのはもちろん、客の住所を控えさせとき全員調べなければならん。
 
〈波〉がそんなに怖いなら、そういう話になってよさそうなもんである。だが現実はそうなっておらず、細かいことをやたらしつこく言う割には大事なところがいいかげんだ。実はすべてが「やってますヨ」「取り組んでますヨ」と他に対して見せるためだけに行われてて、恐怖支配のための見せかけでしかないものだから、
 
「よいか! 専門家の○○様はジョン・コナーになられる御方!! しっかり御奉仕せねばバチがあたるぞ!!」
 
なんてなことを、それぞれの崇拝者が叫んでる。それで自分がカイル・リースやサラ・コナーになれると信じるがゆえに。ただあいにくと今は決して『北斗の拳』の未来みたいな世界でないので、あまりワイルドなことはできない。感染対策しているフリを、見せかけだけやってりゃOK。
 
というのが今のこの社会だ。だから床屋も営業できるが、今日は東京で5千、1万、1万5千と、今年になってテレビが叫ぶ妖精の数はまさに爆発的となった。1月だけの合計で、15万ほどになるのかな。都民の百分の一以上だ。
 
しかし床屋は一日に何十人もの頭をいじる。中には妖精とされた者、検査を受けたが「陰性だ」と言われた者が、そこそこいていいはずだ。けれども客の誰に訊いても、
 
「さあ、どうだろね。検査を受けてないからわからん」
 
としか言われない。
 
このブログを読んでる方の中にもたぶん、いるんじゃないすか、床屋さんが。どうすか。おれが今ここに書いた通りじゃないですか。
 
いない。全然。そうでしょう。あなたの客に「今年になって検査を受けた」と言うのがいない。誰に聞いても、それどころか、
 
「いや、オレのまわりにも、検査を受けたと言うもんいねえな。やってんのを見たこともない」
 
と言う者ばかりじゃないすか。そして同業者に尋ねてみても、
 
「いや、ウチのお客さんも、そう言う人ばっかりだね」
 
という応えが返ってきているのではありませんか。
 
なぜそうなるかわかりますね。「今日は1万を確認」とか「2万確認」なんて嘘だからだ。本当には東京で、日に6千しか検査してない。そしてほんの数人の妖精しか見つけていない。
 
それでも数を多く言えば、コロナが〈波〉を起こしてくれると厚労省の役人どもは信じ込んでる。世界じゅうで同じ立場の人間どもが同じことを信じ込み、そのとき自分はジョン・コナーだと本気で思い込んでいるからどこまでも嘘をつき続けている。
 
【この嘘は本当になってくれるのだからついていい嘘】
と合理化してる。1990年のバブル崩壊だけでなく、ブラック何デーとかリー何ショックと呼ばれるもののすべてがアメリカの財務省とか、なんだのかんだのの専門家集団が、
「絶対儲かる。損はさせない。なぜならそれがルールだから」
を合言葉にいいかげんなことをさんざんやらかし、破綻が来て終わったものだ。それを何度繰り返しても反省せず教訓にしない。
 
〈コロナの禍〉もまた、来るのは〈波〉でなく嘘が破綻しての終わりだ。それ以外にない。もうそろそろ、日本じゅうの床屋さんが、
「ウチのお客で検査を受けたと言うのがいねえぞ」
「ウチもだ」
「ウチも。それどころか、検査してるの見たと言う人もいない」
「じゃあ一体、どこで今日は3万とか4万とか、5万人とか確認してるって言うんだよ」
「今日は5万か。今年のここ何十日かだけの累計で200万……東京都民の6人にひとりが艦船者として確認された計算になるぞ」
「それってつまりウチの客の6人にひとりが確認されておきながら嘘ついてるってことなのかよ。バカ言うな!」
などと言い合うことになる。もちろん店の客にも話すし、客が家族や友達や、仕事仲間に話すことになる。
  
わかるだろう、これが堅実な『めぞん一刻』の世界に生きるってことだ。バブルやリーマンなんとかと同じで、専門家の嘘は床屋談義に勝てない。厚労省の嘘はそろそろ、床屋さんが、
「おかしいぞ」
と言い出すところにきたんじゃないかとおれは見るね。そこから先は後は全部が全部嘘とわかって言い逃れができなくなるのにほんの一歩だと思うわけだ。
 
てわけでおれはしばらく休み、その時を待とうかと思っているんだけれど、どうなるかな。ちょっとわかりません。とにかく、いつかまた会いましょう。
 
作品名:端数報告6 作家名:島田信之