端数報告6
宮崎学と言えばいちばん気になるのは、【完全なアリバイ】とやらがどんなものかだが、『突破者』の本を見ると、
画像:突破者146-147ページ完全なアリバイ
画像:突破者下巻表紙
こう書いてあった。
《某音楽大学労組の会議に出席》?
なるほど完全なアリバイだ。おれはそもそも『闇に消えた怪人』に書いてあることなんかひとカケラも信じてない。宮崎学というのはただのユージュアル・サスペクト。何かあるたび警察が、
「あいつも一枚噛んでんじゃないか」
と疑う百人のひとりに過ぎず、ただ吊り目というだけで〈最重要参考人〉にされてしまっているだけじゃないのかと考えていたクチであり、
「なんでそんな有名なやつが京都駅で堂々と」
としか思っていなかったから、このアリバイを見ても、
「ふうん」
としか思わなかったが、エンデンブシは読んでやっぱり、
「出来過ぎたアリバイだ。やはりこいつが主犯なのだ」
と思ったのじゃないですかね。そこからずいぶん妙てけれんなことを考えて小説に書いた。
でも似顔絵の顔自体は、むしろよくある顔である。たとえば『魁!クロマティ高校』なんてマンガは、吊り目のキャラが多く出てきておれにはとても見分けがつかない。
おれの高校のトサカ頭も、全部同じ顔に見えた。クローン人間の集団のようだ。老ければ全員あの似顔絵のようになりそうにすら思えた。『クロ高』の第1巻第3話は、
『デビューしてみよう』
というもので、主人公の神山がこのように、
画像クロマティ高校デビューしてみよう
アフェリエイト:クロマティ高校
〈高校デビュー〉というものを目論むのだが、まず頭を金髪にし、次に、
画像:クロマティ高校眉間に皺
眉間に皺を寄せるとそれだけで目が吊り目になってしまう。この話は最後のページで彼の〈デビュー〉はもろくも失敗するのだが、そうでなければ目は吊り目で固定され、数日するともう元には戻らないことになるであろう。
人間の顔はそのように、あんがい簡単に変わるものだ。あなたもあんまり宮崎学のアリバイなんかを疑い、眉間に皺寄せ変なことばかり考えてると、人相が悪くなってしまってしょっちゅう警察にバンかけられるようになり、そのうち本当の犯罪者になってしまうかもしれませんよ。危ない危ない。変なデビューは企まないのが安全な道です。カイル・リースやサラ・コナーを目指すのも精神病院に入れられて、
画像:カイル・リースとサラ・コナー
こうなってしまうだけだと知るべきでしょう。そんなところで今日はおしまい。それではまた。