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泡の世界の謎解き

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「実はね。このお店でかつて、店の女の子と従業員の間で痴話げんかがあって、それが原因で女の子が自殺をしたの。それを店としても体裁と、店の保身を考えて、警察のその時、誤った捜査をしたんだけど、それを店が握りつぶすということがあったのよ。それを組織も知っていて、組織とすれば、この店と、警察両方に対して、まるで、鳥と獣が戦争をしていて、鳥に対しては自分を獣といって、獣に対しては自分を鳥だといって、うまく立ち回っていたイソップ寓話の中の、「卑怯なコウモリ」という話があるんだけど、そんな日和見的なことができたんだ。でも、実際には、誰が得をしたというわけではない。結局は三すくみになってしまって、今ではどれが裏切るかによって、すべてが崩壊してしまう。まるで。冷戦時代の」核の抑止力」というものでもあるかも知れない。これが、現代の犯罪なのかも知れないわね」
 と、りえはいうのだった。
 なるほど、日にちはどんどん経っていって、確かにりえの言う通り、一度警察は犯人を確定したかのようになったんだけど、また一から降り出しになってしまった。結局、事件は解決できないまま、時間だけが過ぎていき、もう誰も事件のことを口にする人はいなかった。
 そういえば、事件が発生してから店の再開まで数日だった。殺人事件が起こったわりに、異例の速さでの再開だったが、さすがにあの部屋は使われることはなかったのだった。
 今は辞めてしまったが、りえのいう、まさにその通りだったのだ。

                 (  完  )
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作品名:泡の世界の謎解き 作家名:森本晃次