火曜日の幻想譚 Ⅳ
431.ランキング
世の中、案外、ランキングがものをいう気がしています。
得票などを集計し、日夜、さまざまなものに順位が付けられていく。今この瞬間も、集計は行われているでしょうし、恐らく、国内だけでも1日にたくさんの種類のランキングが作成されている状況だと思います。
そんな多種多様で、便利で、有能なランキングですが、個人的にはこのランキングという形式、正直、あまり良い評価方法ではない気がしています。
結局、圧倒的に票などを稼いだものが、順当に評価され上位にランクインしていく、それだけだからです。そこには少数意見の尊重や、通好み、分かる人には分かるといった言葉は通用しません。鼻で笑われるだけです。ただただ、票なきは悪、多数の支持を集めたものが勝つという世界が眼前に展開されるだけなのです。
もちろんそういったことを完全に否定する気はありません。何かを決めるのに多数決を採るというのは、ときに最善なこともあると思います。それに、私も恐らくは何らかの多数派であるわけで、常に少数派として、世の全てのランキングに負け続けて、悔しがっているわけではありません。
でも、やっぱりどこかで、少数派が報われるようなランキングの方法を、採用してほしいという思いがあります。真実はともかく、お、このランキングは本質が見えてるな、分かってるな、と思いたいのです。結局のところ、多数決で構いません。でも、あくまでそう思わせてほしいのです。
昔、ヒットしている曲を10曲紹介する番組に、スポットライトというコーナーがありました。10曲には入れなかったものの、赤丸急上昇の曲や期待のニューカマーなどが登場する場として機能していたように思います。ああいうコーナーをちょっと設けてくれるだけで、われわれ少数者は留飲を下げることができるのです。
世の中のランキング作成者の方々。ぜひ、そういった少数意見の持ち主を救済する手段を講じてはくれないでしょうか。そうすれば少数派も喜びますし、もしかしたら、社会のギスギスも少しは緩和するかもしれません。
あ、でも、そういうやり方が多数派になったら、それはそれで困るな……。