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火曜日の幻想譚 Ⅳ

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448.小籠包



 唐突だが、小籠包は武器になると思わないか。

 熱々のお湯、というかスープを皮で包んだ風船爆弾と考えれば、武器としてかなりのポテンシャルを秘めている気がするのだ。過去、戦争で使われた風船爆弾とはかなり趣が違うが、食らった生物はかなりのダメージを負うはずだ。

 確か戦国時代、籠城戦で、城から熱湯や熱々のおかゆを浴びせた事例があったはず。熱湯も食べ物も、実際の戦で使われた経験があるというのは、非常に心強い。しかも、その熱湯がおいしいスープなのだ。さらにお肉も入っていて、そのうまさはおかゆに匹敵する。手りゅう弾などは、見ただけでみんなが逃げ出すぐらい、いかつい見た目だが、こちらはみんな、食べたさに近寄ってくるだろう。戦争も末期になれば、食べ物の事情もひっ迫する。そんな時にこの武器を用いれば、相手の兵士は吸い寄せられるようにやって来て、一気にやけどを負って戦闘ができなくなるに違いない。

 だが冷静に考えてみれば、使いどころはとても少なそうだ。飛行機や戦車にぶつけても効果はない。対人、という状況でないと、使い道はない気がする。ということは、格闘技などに活路を見いだすしかないだろう。

 いっそ格闘ゲームのキャラに、武器として使ってもらえばいいんじゃないだろうか。ああ、ちょうど有名どころに、チャイナドレスのような衣装の、中国出身の女性格闘家がいるじゃないか。彼女に中華せいろを持ってもらって、遠距離攻撃とかの際に投げつけてもらえれば、小籠包の武器としての普及に一役、買ってもらえるのではないだろうか。

 そうして、小籠包を武器として浸透させていき、最終的には、小籠法という拳法の流派ができるところまでこぎつけたい。


作品名:火曜日の幻想譚 Ⅳ 作家名:六色塔