小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

火曜日の幻想譚 Ⅳ

INDEX|3ページ/120ページ|

次のページ前のページ
 

478.たくあんの下のまな板



 まな板の上の鯉、なんて言葉がある。

 絶体絶命の状態を指しているわけで、まあ、鯉にしてみればたしかに絶体絶命だろう。別にこの言葉を否定したいわけじゃない。だが、俺ら、まな板の立場ももう少し考えてほしいと思うんだ。

 何、おまえらまな板は別に絶体絶命じゃないだろって?  いや、実のところ、そうでもないんだよ。もうぎりぎりなんだって。

 でも、実際におまえは、あの包丁の鋭い一撃をずっと受け止め続けてきたじゃないか?

 確かにそうかもしれない。だが、受け止め続けてもうぼろぼろなんだよ。人間社会にもいるだろう、昨日まで気丈に振る舞っていたのに、翌日になったら急に参ってしまうやつが。俺らもそうなんだ。逝くときはSOSを出さずにあっさり逝くんだよ。

 ああ、たくあんが乗せられた。これでもう終わりだ。じゃあな、最後に話を聞いてくれてうれしかったよ。

 バキッ。


作品名:火曜日の幻想譚 Ⅳ 作家名:六色塔