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火曜日の幻想譚 Ⅳ

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378.遺書探訪



 はい。皆さん、こんばんは。遺書探訪のお時間です。

 今日もいい遺書日和ですね。皆さん、いい遺書、書いてますかー。さて、今回は文京区の天宮道子さん(37)の遺書を探訪していきたいと思います。まずは最初の遺書は、13歳、中学2年生の頃にしたためた遺書です。どうぞ。


 お父さん、お母さん。

 私は、クラスメイトの○美ちゃんと○子ちゃんにいじめられています。
 汚い雑巾で顔をふかれたり、給食の牛乳に雑巾を絞られたり、居残りで雑巾がけを何往復もさせられたりします。
 もう嫌なのでしにます。さようなら。


 いじめてる子たちは、雑巾に何かこだわりがあったんですかね。このときは、練炭を買うお金をもらおうとしてお母さんに気付かれ、家族会議の結果、引っ越すことで事態は解決したそうです。では、次の遺書に行きたいと思います。次は、24歳、OLのときに某掲示板に書き込んだ遺書をお送りしたいと思います。どうぞ。


 216 苦しい名無しさん2008/01/21(月) 02:29:39.07 ID:tF5646mO
 あの人は優しかった。
 いつもそばにいてくれた。

 でも、私はあの人を裏切ってしまった。
 試すなんて言いながら、違う人と会ってたの。
 その人も優しかった、けど、しょせんはうわべだけだった。

 失ってから、あの人の本当の魅力に気付いたの。
 でも、もう元には戻らない。

 私はひとりぼっち。生きてる意味なんか何もない。


 いいポエマーっぷりですねえ。人間、死を思うとなぜポエマーになってしまうのか。これ、研究したらイグノーベル賞、行けるんじゃないかと思うんですけど、どうですかね、学者の皆さん。ちなみにこのときは、書き込んだ直後にマッチングアプリでイケメンからコンタクトがあり、書き込みは瞬時に忘れてしまったそうです。でも、そのおかげでずいぶんひどいレスが付いたとか。さて、早いものでもう最後の遺書の紹介となりました。先年、FXで失敗して500万近くの借金を抱えた道子さん、彼女がSNSにつぶやいた遺書です。どうぞ、ご覧ください。


四十路トレーダー @trader_yosoji 11月21日
資金が尽きました。おばさんじゃ風俗にも行けないのでつります。


 逆に今度はコンパクトですね。この必要最低限っぷりもまたいいのではないかと思います。なお、このとき35歳だったそうですが、その年ならまだまだ風俗も全然ありなんじゃないかと思います。むしろ私なんかそこからがストライクゾ……、いえ、何でもありません。この後、道子さんはどうにか生活保護を取得して、今現在、ほそぼそと生活しながら就職活動をされているそうです。でも、こんなセンスのある遺書を書ける方なので、ぜひまた、素晴らしい遺書を書かれることを期待しております。

 さあ、この番組を見ながら遺書を書いているあなた、遺書を書いた後、自殺に失敗した方も成功した方も、自分の書いたすてきな遺書をこの番組で公開してみませんか。われこそはという方はこちらまで、どしどしご応募ください。

 それでは番組を終わります。また来週!


作品名:火曜日の幻想譚 Ⅳ 作家名:六色塔