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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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こんにちは地球侵略です

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しゅぱーーーーん

 前方の小さな物体のハッチが開いた。そして中から背の低い人型の生き物が姿を現した。
「こんにちは! 地球の皆さん。我々は宇宙人です。どうか、怖がらずに出て来てください」

 哨戒機に乗った十数人は、慌てて声も出せず顔を見合わせた。そりゃそうだろう、自分たちの目の前にいるのは全身が銀色で、頭が大きく、目玉パッチリの、一昔前のSF映画に登場するまさに「それ」だったのだから。しかも、もう全員が囚われの身となってしまっているのだ。
「わ、私が行こう」
そう言ったのは、機長だった。彼の階級は一尉で、この中では最上級士官である。
「だ、大丈夫ですか?」
レポーターは心配してそう聞いた。すると、広報担当官は、
「機長の一尉殿は勇敢であられる。心配はない!」
と言うと、またしばらくの沈黙の後、
「我々も同行します」
と、レポーターが言った。すると、
「いや、民間人の出る幕ではない!」
と、強く広報担当官が制止したが、それに対しレポーターは、
「このニュースを全世界に伝える義務があります」
広報担当官は機長を見た。すると機長は黙って頷いた。

 機長に続いて、レポーターとカメラマン、そして長竿のマイクを持ったスタッフが、哨戒機を降りた。地面はやや柔らかい素材で出来ているが、その材質はよく解らない。そしてその宇宙人に5メートルの距離まで近付くと機長は、
「自分は航空自衛隊 飛行警戒監視群 第60X飛行隊所属 早期警戒機 機ちょ・・・」
「やあやあ、お招きいただき光栄です。私達は銀河連邦所属の辺境調査団です」
宇宙人は人懐っこい笑顔で、両手を広げて近寄って来た。
「銀河・・・調査団?」
機長は、緊張をそがれるような対応に、面食らいながら尋ねた。
「はい、銀河系には数千を超える種族がいて、お互いにコミュニケーションを取れるくらいに進化すれば、連邦に加盟することが出来るんです」
「はあ、しかし私たち地球人があなた方を招待したというのは、どういうことでしょうか?」
「VOYGER(ヴォイジャー)ですよ」
「ヴォイジャー? あのアメリカが打ち上げた太陽系外まで飛んで行った、宇宙探査機の?」
「え? あれ探査機だったんですか? あまりにもシンプルなので、ただのドローンかと思いました」
それを聞いたレポーターも(確かに彼らのテクノロジーからすれば、地球の宇宙船なんか、正月の凧か、竹とんぼみたいなもんだろうな)と思った。そしてこう口を挿んだ。
「そのヴォイジャーを、あなた方が見付けたと言うのですか?」
「そうです。宇宙にはたまにそんな漂流物があるんですが、大抵は放棄された機体です。でもヴォイジャーには変わった音声メモリーが搭載されていたので解析すると、『こんにちは』と記録されていました」
「ああ、それは将来、宇宙人が見付けてくれた時のために、積み込まれた金のレコードに録音されていたメッセージですね」
「そうです。我々は感激しました。未開の星の住人が挨拶をしてくれるなんて。それじゃ返事をしに伺うしかありません」
「なるほど。それでこの急な訪問になったわけですか」
「君たち地球人は、すでに我々銀河連邦とコミュニケーションを取る能力があるようです。では直ちに引っ越しの準備をしてください」
「引っ越しだって?」
「はい、この星の環境はかなり悪くなっています。約1000年は自然環境回復のために、地球人には地球を離れてもらいたいのです」
「いやいや、ちょっと待ってください。全人類が地球を離れるなんて、みんな納得するはずが・・・」
「おお、スバラシイ。そう言われるのは、全地球人の同意が必要だと仰っているのですね? 地球人は民主主義だったのですね」
「ま、まあ、殆どがその民主主義を望んでいるのですが・・・」
「じゃ。多数決を取ればいいじゃないですか」
「た、多数決?」
「ええ、地球を離れるか、残るか、二つに一つです」
「じゃ、地球を離れるなんて結果にはならないと思います」
「ところがこの多数決には、我々も参加しますよ。君たちを発見した我々には、地球の未来をサポートする責任があるのです」
宇宙人は不敵にニヤ付きながらそう話した。
「それは、内部干渉に当たらないですか?」
「なんですか? 内部干渉? そんな概念、銀河にはありません。より良くするためですから多数の意見を尊重すべきです」
「じゃ、あなたたちは何人がその多数決に参加するつもりなのですか?」
「この宇宙船の搭乗者全員です」
「で、何人?」
「約100億人です」
「100億!? 80億人しかいない地球の人口だけでは勝てないじゃないか。そんなのひどすぎる」
「これが公平な民主主義じゃないですか。君たちはこの基本を無視すると言うのですか? それでは銀河連邦の敵とみなされます。敵はすべて滅ぼされてきました。少数派ですから」