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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
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こんにちは地球侵略です

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こんにちは地球侵略です



「まさか地底人が現れるとは、我々はこの脅威にどう対抗するべきか?」
「お待ちを、大統領。彼らの乗り物をご覧あれ。あのテクノロジーを侮ってはなりませぬ」
「国務長官殿、あんなもの核で攻撃すればイチコロであーる」
「待たれい! 統合参謀長、結論を急ぐなかれ。彼らがいかような武器を持っているやも知れぬのだ」
「は、弱腰はいただけないのであーる。国務長官殿。確かに彼らの戦力は未確認であーるが、好き勝手させるくらいなら、こちらの力を示すべきであろう。大統領閣下!」
「否! ここは外交ルートを以って、交渉の場を持つべきなり。大統領!」
「確かに、彼らを怒らせるのだけは避けたいが、彼らの思う様にはさせられん」

 どこかの大国の大統領は冷静に地底族への対応策を検討していた。しかし地底人は地上に住む人間とは明らかに種族が違い、私達の価値観や道徳観念は通用しないことが判って来ている。そしてこの地上で、彼らの好き勝手に活動されると、地球温暖化を加速させられ、人間が住めない環境になってしまう危機感があったのだ。
 そこに女性次官が参謀長に近寄り、何やら耳打ちした。すると、参謀長の表情はより険しいものとなった。
「大統領。直ちにテレビを見ていただきたいのであーる」
「どうしたというのだ?」
作戦室の壁の大型モニターにニュース映像が流れた。

「アイヤ~、上空を黒い雲が覆い尽くしているアルが、まるで石炭的煙アルよ」
 国際放送局のレポーターの力の籠った声で、その状況は全世界に放送されていた。何やら周囲を警戒する人民解放軍の動きが活発に見える。
「この雲は一体何アルか? 極東全域に拡大アルね。今更スモッグなんか無問題アルよ」

 カメラが切り替わると、放送前の準備が追いつかず、慌てて耳にイヤホンを押し込む男性の姿が映し出された。
「お前ら見えるセヨ? こちらにも黒い雲が広がってきたニダ」
その男性は、それが西の空から流れるように広がる様子を、緊張した声で実況し始めた。
「北の毒ガス兵器ではないっソヨか? 全部東の島国へ飛んでいけばいいニダ!」

「あ! ニュースをご覧の皆様。こちら報道センターです。ただ今、動きがあったようであります」
突然カメラは、スタジオに切り替わった。
「我ら自衛隊の哨戒機が取材班を載せ、雲の上に出た模様です。映像つながりますでしょうか?」

グオーーーーン
 プロペラ機の騒音が聞こえた後、画面は何やらごちゃごちゃした物体を映し出した。
「これは一体、何でありますか?」
スタジオのアナウンサーが問いかけると、
「見えますでしょうか!? 信じられません! 私たちを乗せた飛行機は、間際まで接近しています!」
「一体何の映像でございましょうか? こちらからそれを伺い知ることは出来ません」
「え? 映ってませんか?」
「見えているのは、何かイガ栗のような大きなものであります」
「そうです。これはとてつもなく大きなものです! それが空に浮かんでいるんです!」
「大きすぎて、全体がカメラに収まらないということでありますか?」
「その通りです。私たちが雲を出た瞬間、こんな物体と至近距離で出くわしてしまいました。自衛官の話ですとレーダーには何も映らなかったようです!」

ガックン!・・・・・・シーーーン

 その哨戒機は突然の衝撃を受けた後、プロペラの騒音が消え、静かになった。
「何ということだ! エンジンが止まってしまった!」
そのレポーターは、不安で大声を上げたが、機体は落ちることなく宙に浮いている。カメラが撮影方向を変え、翼に付いたプロペラを映し出したが、それは完全に停止してしまっていた。
「どうして落ちないのでしょうか!?」
「大丈夫ですありますか!? スタジオからは何が起こっているのか全く解かりません! レポートをお願い致します」
「は、はい・・この飛行機は、あの大きな物体に引き寄せられているようです」
「おお、そうでございますか。お決まりのパターンですね。よく解かりました」

 それには誰もが恐怖を感じずにはいられなかった。哨戒機は静かにかつスムーズに、その巨大な未確認飛行物体に吸い寄せられて行った。その間もレポーターの悲痛な叫び声の実況が、全世界に放送され続けた。
 やがてその物体の外壁にぶつかる瞬間、哨戒機は吸い込まれるように、その内部に取り込まれて行った。
「ああ、ついに、UFOの内部に捕らわれてしまいました! 中は広い空間で、とても明るい・・・」
「ダメだ! 通信は遮断されている!」
取材クルーのサポートに当たっていた広報担当の自衛官がそう言うと、機内は沈黙となり、暫く窓から機外の様子を伺うしかなかった。
「あ、あれは? 何か近付いて来るぞ!」
距離にして、500メートルあるだろうか、だだっ広いその内部空間の向こうの方から、小さな物体が飛んで来て、哨戒機の前に静止した。そして向かい合う二機は、静かに降下し始め、やがてその地面に置かれるように着地した。