ドクター・ヤブ田の、らくらく医学講座
糖尿病の診断には、HbA1c(ヘモグロビンAワンC,または、グリコヘモグロビン)がもっとも重要だ。「グリコ」といってもキャラメルではない。
血液のブドウ糖が赤血球のヘモグロビンに結合したものである。
ブドウ糖が多いと、ヘモグロビンにたくさんくっ付く。
これを測定することで、過去一ヶ月ぐらいの血糖の平均がわかる。
この検査の長所は、検査当日の食事に影響されないことだ。
検査の日の朝ごはんを抜いたり、前の日から食事を抜いてもグリコヘモグロビンは下がらない。
この検査がなかったころは、糖尿病の患者さんは、前の日から食事を抜いて、病院へ来ることもあった。
その日の血糖を下げるためだ。
作戦が成功して、騙された医者もいたのだが、今はそういう手は通用しない。
医者もだんだん賢くなっている。
糖尿病治療の基本として、
「常に腹七分目にしなければいけない」(腹八分でないところに注意)
と、かなりキツイことを糖尿病専門の偉い先生方はおっしゃっている。(先生方はおそらく腹一杯食べているだろう)
私が糖尿病でなかったことはほんとうに幸運だ。
好きなものが食べられなくて酒も飲めなかったら、何を楽しみに生きていったらよいのだろう。
真面目に食事療法を守っている糖尿病患者さんを見ると、私は、ただただ頭が下がる思いである。
作品名:ドクター・ヤブ田の、らくらく医学講座 作家名:ヤブ田玄白