ドクターヤブ田の、血液型大研究
研究室のボスがAだった。
すっごく頭のいい人。口八丁手八丁で学会でも有名な人だった。
ABの私は人に指図されるのがあまり好きでなかったが、気が弱いため、表面上は唯々諾々とボスの言いなりになって働いた。
無理とストレスがたたり、いつか、心療内科のお世話になるようになった。仕事を休むまでには至らなかったが、茫然と半年を過ごした。
この病はとにかく休むことが治療。脳に栄養を与えて、ポカンとして過ごすのが一番いいようだ。
私はA型のボスと机を並べて一日過ごす。
実験で研究室から離れると、ほっとした。
研究室には、ボス以外に5人の医者がいたが、皆が皆ボスを煙たがっているわけではなかった。
ヤブ田の7年後輩のF君はボスと気が合うようだった。
私の目にもF君はボスによく似たタイプに見えた。「リトルボス」である。
F君も頭がとってもよく、几帳面で朝から晩まで仕事をこなしていた。
笑顔が多く、私の暗めの表情とは対照的だった。彼はA型だった。
作品名:ドクターヤブ田の、血液型大研究 作家名:ヤブ田玄白