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ヤブ田玄白
ヤブ田玄白
novelistID. 32390
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ドクターヤブ田の、血液型大研究

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「だって主人は、私のこと愛してますから」
インテリジェンスにあふれた彼女としては、思いがけない発言だった。

ナゾは深まったが、私は黙っていた。
〈これは二人の問題だ。これ以上、他人が入り込むことではない〉

 この「事件」が大問題に発展しなかったのは、不幸中の幸いだった。

今回、60年ぶりに、彼女がBではなくABであることが明らかになって、親子鑑定問題は無事に解決したことになる。(Oの父とABの母の間に、Aの子供が生まれるのは自然なことだ)。
彼女の一家にとって、喜ばしい出来事だったろう。

しばらくして彼女は、夢から覚めたように、
「センセイ、血液型と性格は関係あるって言いますよね。本当なんですか?」
と、言った。私は、
「そういうことを言う人もいますね。私はわかりませんが」
と正直に答えた。

彼女はなおも、
「ABですか。困ったなあ。これから私の性格変わるんでしょうか?」
と、心配そうな顔になった。

私は無責任だったかもしれないが、
「いや、いいんじゃないですか。
ABでよかったんじゃないですか。
これからは、もっと胸を張って、生きていってください」
と励ましたが、彼女はピンとこなかったようである。