ドクターヤブ田の、血液型大研究
ここで、これまで判明した事柄を整理してみる。
彼女が東京のK病院でお産をしたとき、彼女はB型といわれた。
生まれた子供はAだった。
そして、ご主人はOだった。
つまり、OとBからAが生まれたことになる。
これは問題なのだ。
医学的にO型(遺伝子はOO)の父と、B型(遺伝子はBBかBO)の母親からは、BO(B型)かOO(O型)しか生まれない。
Aは出ないはずだ。
私は静かに言った。
「そのとき、何か問題は起こりませんでしたか?」
「・・・・」
「いやー、つまり、お子さんの血液型のことで・・・。
病院では何と言いましたか?」
「ああ、そのことね。
エエ、私もすこしは気にしてたんですけど。
病院では、そういうこともあるって言ったんです。」
私は驚いた。
〈すごい医者だナア。その医者は何型か知らないが、ウソつきは何型が多いのか、これから研究しなければならない〉
「そんなことはないですよ。
だって、ご主人がOで、奥さんは、その時Bだったんでしょ。
お子さんがAってことは、ないです」
私は力をこめて言った。そして、聞いた。
「ご主人は何か言いませんでしたか?」
「イエ、別に」
彼女の表情は変わらない。
「よく、ご主人は納得しましたね」
そのとき彼女は、平然と言った。
作品名:ドクターヤブ田の、血液型大研究 作家名:ヤブ田玄白