ドクターヤブ田の、血液型大研究
検査データを再確認して、検査室にも問い合わせた。
こちらの結果に間違いなさそうだった。まず、AB型で問題ないだろう。
「イヤー、そういうことは普通ないんですがね。何かの間違いだと思いますよ。」
私はまともな答をした。
「でもネ、センセイ、前にお産で入院した病院で検査したときは、Bだったんですから。それに、母子手帳にだって、ちゃんと、B型って書いてあるの。」
(話は合理的だが、これだけでAB型と確定するわけにはゆかない)
「どこの病院ですか?」
うっかり私は、あまり本質的でない質問をしてしまった。
「エッ、病院?エーッと、東京のK病院だったかな。」
東京に住んでいた人なのである。このへんの人とはちょっと違う高級感のある人だと思ったが、やはりそうだった。彼女の立場は好転している。
「そうですかーーー。でも、だいぶ前の話ですよね。」
私は言葉を濁しながら、東京だからといって、必ずしもここより正しいとは言い切れないことを、婉曲に表現したつもりだった。
作品名:ドクターヤブ田の、血液型大研究 作家名:ヤブ田玄白