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空と海の道の上より Ⅷ

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 六時半、お寺の前から少し歩いてすぐ遍路道へ。
 お寺の方に道を尋ね出かけるが、何気なく間違わないように見送ってくれ、「ゆるゆる行きなさい」と言ってくれる。気持ちの良い、よく整った山道をどんどん下っていく。落ち葉を踏みしめ、真言を唱えながらどんどん下る。

 木立ちが切れて見晴らしの良いところに来ると、下の観音寺の町や瀬戸内海まできれいに見える。しばし見とれる。すぐ下に池も見えるが、聞こえるのは鳥の声だけ。また木立ちの間を下る。
 七時二十五分、また見晴らしの良いところに出る。今度は町が少し近く見え、かすかにモーターの音が聞こえる。下って来たからか、だんだん暑くなる。川のせせらぎも聞こえる。

 七時五十分、ここから舗装された道になり人家もあり、畑も出てくる。けれども、まだゆっくりした下りが続く。広い道に出るが山に近く、景色も良く気持ちがいい。畑の間の広い道を下っていく。
 八時十分、新しくできた谷口橋を渡り、左に川に沿って下る。この辺はずっと路傍に丁石の仏様が残っていて、頭を下げながら通る。
 八時三十五分、左手に池。ずっと気持ちの良い田舎道を通って九時十分、六十七番大興寺着。

 大きな木のあるお寺。拝んでいる間に、納経所が一寸つかえる。
 九時五十分発。お寺の前をすぐ左に、国道三七七号線に出て左に。

お腹が空いたのでパンとコーヒーを買って食べる。
 店の奥さんの、「私も死ぬまでに一度お参りしたい。」の言葉に、昨日の店の奥さんが言っておられた、
「北海道からわざわざお四国参りに来る方もあれば、四国に住んでいながら一度も、一か寺もお参りしないご縁のない人もいるのですよ。」の言葉を思い出す。そして、こんな形でお参りできるご縁があり、本当に有難いことと思いながら歩く。

 十時二十分、山本町から観音寺市へ。点滅信号を右に曲がり、豊田小学校の所を左に折れ、広い道をまっすぐ行く。前方に観音寺の町並が見える。
 十一時、高速道路の下をくぐり、十一号線を横切って、市内へ一直線の道を進む。保険会社の入り口の、段の所に座ってちょっと休憩。車の人が眺めながら通るが気にならない。
 十一時四十分、線路を渡り一の谷川、明治橋を渡り左へ。遍路マークを見失い商店街を通って人に尋ね、財田川を渡り十二時五分到着。

 ここは六十八番神恵院と、六十九番観音寺の二か寺が一緒にあり、上から順にお参りして納経所へ。
 二人連れの中年の人が本堂で拝んでいて、一人はまだ心経を本を見て唱えているがなかなか合わず、それでも大きな声で唱えるので、二人で拝みながら、そうではない、こうだと言っている。下の本堂でも同じように言っている。とても大きな声で、それぞれが唱えるので揃わず、何だかとても微笑ましく、楽しかった。
境内にある店で昼食。ここから七十一番、弥谷寺に電話するが宿坊はやっていないとのこと。どうしようかと思うが、まず七十番本山寺迄と一時二十分歩き始める。

来た道を川の所まで戻って、寺で頂いた道順の通りに行こうと思うが、遍路マークと違うので遍路道のほうへ土手沿いの道を歩く。ずっと前方に塔が見える。右が川、左が畑の土手を歩く。予讃本線の下をくぐり二時十八分本山寺着。ここはずっと五重の塔が見えていたので、目標があり安心して歩けた。

とても境内が広く塔もあり、整った奈良のお寺のような雰囲気の札所です。お寺を出てすぐの国道にビジネスホテルがあり、次との間に宿がないのでここに泊まろうかと思い、お寺で比較的のんびりとする。
 納経所で尋ねるとここから七十一番と、七十二番七十三番は同じ位の距離で、七十二番七十三番には遍路宿があるとのこと。明日七十一番に戻ればと言われ、二、三日洗濯ができていないので遍路宿なら洗濯できると思い、まだ三時なので歩くことにする。お寺の人が宿の番号を調べて下さり国道から電話。十一号線を善通寺に向かって歩き出す。

 三時四十分、あんまり暑いので喫茶店で一休み。四時十分、高瀬町へ。讃岐のポッカリしたきれいな山が見える。
 四時三十五分、高瀬川高瀬橋、ここから左に七十一番弥谷寺に参る道があるが、私は国道をまっすぐ歩く。休憩して歩くと、歩き始めに足が痛い。左足に久し振りにまめが出来、痛くてサビオを貼る。

 五時、三野町へ。だんだん上りになり鳥坂のバス停、ここからも弥谷へ行く道がある。下りになり善通寺市に入る。左に大きな池があり、池に向かって打つゴルフの打ちっぱなしがある。ここからも弥谷寺へ。本によるとこの道が遍路道なので、明日はここまで戻って弥谷寺へ行くことになると思う。五時五十分、国道から右へ折れ遍路道へ。

 六時、七十二番曼荼羅寺のすぐ傍の宿に着く。お参りは明日にしてすぐ宿へ。
 お風呂に入り、乾燥機もあるので全部洗濯。とても助かる。今日は調子も良かったし、明日弥谷寺を往復するので少しロスはあるが、ここまで来て良かった。またしんどい日もあるので、頑張れる日は歩いておこうと思う。

 お風呂で会った人が一人で歩いていると聞いて、話をしてほしいと言われ、洗濯物を乾燥機に入れその人たちの部屋に行く。名古屋から来た四人の方にお大師様の話をする。 

 今日はとても喉が渇き、食事のあと三本もジュースやコーヒーを飲み、食事に付いていた八朔も食べるが、渇きはちっとも止まらない。このところずっと天気が続き、今日は真夏のようでした。手袋をしていても手がすっかり焼けて黒くなり、悩みの種です。今日の使ったお金を見ると、飲物に八百円位使っていて、勿体無いなあと思います。
 お寺でも水を飲むのですが、それだけでは辛抱できなくてつい買ってしまいます。ジュースを飲むと体の調子をこわしてしまいそうで出来るだけお茶を買っています。

 今日は四十㌔近く歩いたようです。でも歩いている間はずっと真言やお経を唱えているので、早く宿に入るより歩いているほうが行になると思います。
 明日はいよいよお大師様の故郷、善通寺。このところ緊張した日を送り、気の緩みはありませんからご安心を。
 缶コーヒーを飲んだからか、眠気に襲われることなく夜に書き上げました。

五月二十八日 午後十一時
七十二番曼荼羅寺そば門先屋にて


五月二十九日(月)晴れのち曇り一時雨

 夜、冷たいものを飲み過ぎたからか、朝から少しお腹が痛い。食事の時間を聞いていなかったので、下に行くと六時半とのこと、部屋に帰って時間まで体操。
 六時五十分、リュックを預け頭陀袋だけ肩に掛け出発。
 
 昨日は気付かなかったが、道の側に琵琶の木がたくさんあり袋かけしてある。風が出て気持ちがよい。
 この辺はいたるところに池がある。リュックを背負っていないと軽すぎて背中が変。何かいつもと勝手が違う。路地の道を一筋取り違え少し戸惑うがすぐ広い道へ。
 七時十分、国道へ。昨日のゴルフ練習場の傍を通り、遍路道へ。
作品名:空と海の道の上より Ⅷ 作家名:こあみ