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端数報告5

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多数化報告


 
さてともちろんグリ森事件の話なんだが、実はちょっと困ったことが起きたので今回はその報告である。おれは以前におれの〈プロレス説〉をいったんまとめたときに、
「『NHK『未解決事件』の録画とウィキの記述のふたつ以外に何も参照してない」
と書いた。その理由を、
「もう今では図書館にも詳しく書いた本がなくなっているからだ」
と書きました。
 
別に嘘は書いてない。嘘は書いてないんだが、しかし「図書館にない」というのはおれがいつも利用している図書館の棚にないってだけで、よく探すと『キツネ目』の他に、
 
画像:本4冊。
 
ああ、3冊も出てきちゃった! まいったねこりゃ、あははは。と笑ってごまかすしかないのだが、あらためて記憶をさらうに最初から、詳しく書いた本があるかをちゃんと探してみようとしなかったのだ。テレビの録画とウィキのまとめだけで書くのもいいか、なんて思っちゃったわけ。帝銀事件ほどに本気でもなかったもんな。それにその方が、
「おれって天才!」
という気分にもなれるってもんじゃん。だからそう思っちゃってたわけなんだよ。
 
で、その後に『キツネ目』の本を見つけただろう。これもやっぱり最初のうちは軽い気持ちで取り上げて、しかし図書館の期限ごとに返しては借り、返しては借りを繰り返すことになった。最初はほんの数回で終わると思っていたんだ、おれは。でもこのブログに書くために中身をつっついてるとわかると思うけど、
 
 
「ここにはこう書いてあるけどなんかなあ」
 
 
というポイントばかり。次から次に疑問が湧き出してくる。おれの頭で考えてみるとね。
 
おかげでこんなに書いたのに話が全然進んでいない。しかしそれもこの本が悪い。てわけで初めて、「ひょっとして」という思いが生まれるわけである。そう言や「どうせ」と思っていたけど、探してみれば詳しい本がちゃんとあったりするんじゃないのか?
 
てわけで、ハイ、探したら、ちゃんとあったわけなんですね。見せた通りに。刊行順に並べると、
 
『闇に消えた怪人 グリコ・森永事件の真相』一橋文哉・著 1996年 新潮社
『真犯人 グリコ・森永事件「最終報告」』森下香枝・著 2007年 朝日新聞社
『未解決事件 グリコ・森永事件〜捜査員300人の証言』NHKスペシャル取材班・編著 2012年 文藝春秋
 
の3冊が。読んでみた感想だが、
 
画像:あえて言おう、カスであると! アフェリエイト:トニーたけざきのガンダム漫画
 
という。3冊が3冊とも、案の定な内容だった。どれも似たり寄ったりで、比べてみれば『キツネ目』がいちばんマシと言うようなものだ。〈プロレス説〉をまとめるときにこれらを探して読まなかったのは正解だったな、とさえ思った。
 
それとも、神の計らいか。この3冊はどれもカスだ。ここで以前さんざん見せた遠藤誠の、
 
画像:遠藤誠帝銀事件と平沢貞通氏表紙
 
これと何も変わらない。NHKの『捜査員300人の証言』はこのドーマコの本の中の、
 
画像:平沢貞通無実の確証
 
これとおんなじ秘密捜査官のお話みたいなものをズラズラ並べているだけの本で、ある捜査員は取材に応えて、
 
画像:諏訪軍医中佐が事件の焦点!
 
こんなことを語ったとか、当時の記者が、
 
画像:遠藤美佐雄の手記
 
こんなことを語ったといった話ですべてのページが埋められている。
 
『闇に消えた怪人』に至っては、セーチョーの、
 
画像:小説帝銀事件14−15ページ
アフェリエイト:小説帝銀事件
 
まるでこれみたいな話の連続である。おいおい紹介していくことになるだろうけど、しかしどうにもこうにも、ううん……。
 
最初に書いた「実はちょっと困ったことが起きた」というのがそれで、紹介するにもどこからどう紹介すればいいかわからずにいるのである。情報が増えたはいいが3冊だろ。ほぼ一千ページだよ。あまりに一度にたくさん増えて、頭の中でろくに整理もできてないのだ。
 
とりあえず、ざっと目を通しただけ。『キツネ目』だってしっかりと読み込むことでアラを見つけてきたわけだけど、まだその段階に入ってない。4冊を読むとAの本とBの本、Cの本とDの本とで書いてることが違うようなことも多く、どれが本当の話なのか、それとも全部間違いなのか見極めねばならなくなった。けれどもAの本に○○○と書いてることが他の本のどのページにどう書かれているなんて、とてもいちいち把握できない!
 
そういうわけでさてどうしよう、という状況なのである。ただでさえ話が全然進んでないのに、あれもこれもを一度になんてもちろん書けやしないだろ。読む方だって頭がこんがらかるだけでしょう。
 
というわけで今回は、前回ここに書いたことだけ他の本にどう書いてあるかだけを見てもう一度考えてみることにしよう。おれは前回、グリ森事件でグリコの内部犯行だとか、お菓子に毒がほんとに入れられてるといった話を真に受けたのはごく一部の人間だけで、多くのマトモな一般人は、
「なんかわからんがおもしろい事件だよなあ。犯人達はカッコいいなあ。次は何やってくれるんだろう」
などと言っただけだった。おれもそのひとりだったという話を書いた。
 
その話だが、新たに読んだ『捜査員300人の証言』の本には、
 
画像:捜査員300人の証言76-77ページ
画像:捜査員300人の証言表紙
 
こんなことが書いてあった。ね、やっぱり。これがまっとうな生活をしてる正しい人間の見方なんだが、マスコミはそれを「遺憾なこと」とする。まったく当時の人々ときたら、我らが口をすっぱくして、
《嘘だと思っていても、もし本当だったら大変なことだよ》
と言っても鼻で笑うだけだったのだ。世間のやつらはバカばっかりで、事の重大さを理解しようともしなかった。そんな人間ばかりだった。嘆かわしい――ということにして、その後に、
《「裏取引」はあったのか》
とあるのが見てわかりますね。そうなのだ。この本は、
 
「江崎グリコには秘密がある。犯人はそれを知る者達であり、グリコは過去に利一がした悪行の代償として何億も払っているに違いない」
 
という方向に話を持っていこうとしている。未解決なのをいいことになんでも言いたい放題なのだ。
 
「会社の内部に仲間がいて、製品に毒を入れられる立場だった。長岡香料の電話番号を知るほどの人間ならばそれができる。だって長岡香料の電話番号を知るほどだからできるのである。グリコにはそれがわかるために、裏取引に応じるしかなかったのだ」
 
という方向に話を持っていこうとしている。未解決なのをいいことになんでも言いたい放題なのだ。そして、
 
「だから菓子には実際に毒が入れられたに違いない。それも何千・何万という数に。グリコは密かに出荷前の箱を調べて見つけているのだ。しかしすべてを調べぬままに廃棄処分したことにして、世には口をつぐんでいる。そうに決まってる。決まってるのだ。なんと汚いやつらだろう。犯人らも犯人らだがグリコもグリコだ。報道せねば多くの人命が失われることになっていた。防いだのはペンの力だ。加藤譲と多くの立派な先輩方が、何百・何千人という子供達を救ったのだ」
 
作品名:端数報告5 作家名:島田信之