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ということにした。のかもしれないが、どうかな。《犯人らしき人物から》と言うけど電話を掛けてきたから《犯人らしき人物》ということにしてるだけじゃないのか。
 
事件が起きると犯人じゃないのに「ワタシが犯人です」という電話を警察に掛けるやつはたくさんいるらしい。〈かい人21面相〉一味の場合、このミゾロギなんとかの本で放火について書かれた次の段落に、
《受け渡し場所を支持する電話は女性の声だった》
とあったり、前に見せたように勝久氏の声を録音したテープを使ったりという具合で、自分達の肉声を滅多に電話に出さなかった。声を出すのは取引の当日、カネを持ってきた人物に新たな指示を出すような場合に限られている。
 
つまり、おれが図書館のトイレで撮ったのと同じく「そうするしかなかった場合」だ。それがどうしてこのときは声を聞かせているというのか。
 
再三書いてきたように、「思い知ったやろ」と言いたいのなら4月15日の手紙にそう書けばいい。だがそうはせず、勝久氏に、
「おまえは そんなに 死にたいか 死にたければ 死なせてやる」
とか、
「ゆっくり くるしめて 殺したろうと おもってる」
と書いたり、また、
 
画像:キツネ目92−93ページ
 
こんなことを書いたりしているけれど、
「また火をつけてやる」
などといったことは一切書いてないようなのだ。『キツネ目』の本を読む限りじゃね。
 
これがこの著者の言うように、
《恐怖心を担保に取》り、《マインドコントロール下でカネを払わせる》
計画ならば、「また火をつけてやる」の方がこんなコンチマシンをどうのこうのなんてのよりもずっと効果的ではないか。
 
「今度は人が焼け死ぬかもしれへんで。お前のせいでお前が雇っている人間が死ぬんや」
 
という方が企業の経営責任者への脅迫として効果的でないかとおれは思うがどうだろう。だいたい、それをやらんのならなんのために放火したのかわからんという話になってこねえか? やはり5日後に書かれた手紙に放火について何も触れてないのはおかしいとおれは思うのだ。
 
再三書いてきたようにね。てわけで、この「思い知ったやろ」の電話の主だが、やっぱり〈彼ら〉に罪をなすりつけようとするアカウマの線が残るとおれは言いたいがどんなもんか。
 
 
 
――と、さて、こんなところで今回はおしまい。「次は人が死ぬかもしれんぞ」という強迫の仕方をする知能犯に警察のスペシャリストが対する小説でおもしろいのが何かないかとお求めの方には例によって、
 
画像:クラップ・ゲーム・フェノミナン表紙
https://books.rakuten.co.jp/rk/c4c936f145e636b5b3a9d0fee0752ce7/?l-id=item-c-seriesitem
 
これをお勧めするのですが、しかしもちろん現在このリンクを押してもページにたどり着けません。始めの5分の1ほどのみ、小説投稿サイト〈ノベリスト〉で公開している、
 
https://novelist.jp/88870.html
 
このリンクから読むことができます。また、「証拠は充分だろう、わかるよな」なんて話が連続する小説として、以前書いた、
 
画像:小説アメリア・イヤハート事件
https://novelist.jp/92161.html
 
これを始めのところだけ上のリンクで読めるようにしました。全文を読みたい方はこれをどうぞ。
 
画像:図書館の本を濡らしたら(と6つの短篇)表紙
https://books.rakuten.co.jp/rk/c0ece09decea3050b225c2ac729aa740/?l-id=search-c-item-img-01
 
作品名:端数報告5 作家名:島田信之